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12月09日-一般質問-02号

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  1. 新潟県議会 1974-12-09
    12月09日-一般質問-02号


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    昭和49年 12月定例会 本会議昭和49年12月9日(月曜日)  議事日程 第2号    午前10時 開議第1 第214号議案第2 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  決算の認定について(昭和48年度一般会計・特別会計) 日程第2 県政に対する一般質問(吉川芳男君、中川三七君、渡辺善作君、齋藤勲君、曽我四郎次君)   ――――――――☆――――――――出席議員(59名)       齋藤  勲 君  大平  武 君  今井 敬弥 君  田辺 栄作 君       曽我四郎次 君  江口 秋治 君  石塚 光雄 君  伊豆野壹郎 君       長谷川豊恵 君  勝又 一郎 君  田原幸次郎 君  竹内十次郎 君       中川 三七 君  権平 正雄 君  目黒吉之助 君  鈴木吉治郎 君       高橋  正 君  斎藤 勝夫 君  轡田 勝弥 君  高山  巌 君       中川 秀平 君  嵐  嘉明 君  桜井  新 君  目黒 武尚 君       小林  脩 君  小柳 新一 君  長浜 泰雄 君  武田 武夫 君       島田 直治 君  小林 一夫 君  古川  渉 君  西川 亀三 君       田井 安平 君  木村 博保 君  岩村卯一郎 君  近藤 元次 君       山岸 敏夫 君  高橋 十一 君  加賀田二四夫君  長谷川 信 君       祢津 文雄 君  高橋半左エ門君  小林 静夫 君  吉川 芳男 君       稻家 重雄 君  長谷川吉雄 君  遠山 作助 君  川室 道隆 君       角屋 久次 君  外山勘兵衛 君  鈴木 太吉 君  小野 清一 君       戸田 文司 君  渡辺 善作 君  林  弘二 君  吉田 吉平 君       高橋 虎夫 君  江口 金吾 君  内山 福雄 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          君  健男 君  副知事         柳沢 長治 君  出納長         佐藤 貞三 君  総務部長        市原 哲三 君  企画調整部長      日浦晴三郎 君  民生部長        多田  博 君  衛生部長        菊地  浩 君  生活環境部長      南雲 達衛 君  商工労働部長      加藤  孝 君  農林部長        鶴巻 達雄 君  農地部長        善木 正敏 君  土木部長        水野 正信 君  新潟東港開発局長    厚地  武 君  病院局長        今井 俊雄 君  企業局長        大倉 博介 君  教育長         矢野 達夫 君  警察本部長       寺尾  繁 君  地方労働委員会事務局長 山根 俊英 君  監査委員事務局長    中島 泰明 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時7分開議 ○議長(角屋久次君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 第214号議案を議題といたします。 ○議長(角屋久次君) 日程第1、第214号議案を議題といたします。 ◆小林静夫君 ただいま議題となりました第214号議案は、審査のため普通会計決算審査特別委員会を設置し、これに付託することを望みます。なお、委員の選任は議長の指名により行なわれんことを望みます。 ○議長(角屋久次君) 小林君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(角屋久次君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。   ――――――――☆――――――――普通会計決算審査特別委員会の委員の定数 ○議長(角屋久次君) おはかりいたします。普通会計決算審査特別委員会の委員の定数は27名とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(角屋久次君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、委員の指名はお手元に配付いたしました委員名簿のとおり指名いたします。   ――――――――――――――――― ○議長(角屋久次君) これより普通会計決算審査特別委員会の委員長及び副委員長互選のため、暫時休憩いたします。  午前10時8分 休憩   ――――――――☆――――――――  午前10時9分 開議 ○議長(角屋久次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ――――――――☆――――――――普通会計決算審査特別委員会正副委員長の互選結果報告 ○議長(角屋久次君) 普通会計決算審査特別委員会の委員長に  稻家重雄君同副委員長に  竹内十次郎君がそれぞれ互選されました。御了承願います。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 県政に対する一般質問 ○議長(角屋久次君) 日程第2、県政に対する一般質問を行ないます。通告順により発言を許します。 まず、吉川芳男君の発言を許します。   〔吉川芳男君登壇〕(拍手) ◆吉川芳男君 私は自由民主党を代表して、通告しておきました原子力発電問題と福祉施策、中でもその基本的な考え方とリハビリ対策について、順次質問をいたします。 まず、原子力発電問題であります。 本年8月から10月にかけて起きた原子力船「むつ」の騒ぎは、あまりにも暗然とさせられるできごとでした。原子炉の臨界到達に成功はしたが、放射線遮蔽に欠陥があって、わずか1時間当たり0.23ミリレントゲンの放射線が外に漏れた。そのために「むつ」は母港に帰してもらえないばかりか、船員を乗せたまま洋上を長期間漂流させられるという、悲しむべき事態を生じたのであります。これは根本的には、わが国の原子力行政の洗い直しの問題でありましょう。しかし、そこには放射線と放射能を一緒くたにした論議や、科学と政治と感情をこきまぜにした不毛の論議が繰り返されているのであります。本来科学の領域を、政治闘争や社会対立が侵害してはならないと思います。 世界が原子力の平和利用なくして将来のエネルギー源の展望はないと必死になっているとき、わが国のみがいつまでもこのような状態に低迷していることは遺憾なことであります。世界で唯一の被爆国であるわが国に、抜きがたい核アレルギーがあることはいなめません。しかし、これに便乗してイデオロギー的に利用することがあるならば、これまた許さるべきではありません。われわれは悠久な人類の歴史と、国家、国民の将来の展望に立って、安全な原子力開発へ政府も当事者も住民も、もっと対話を進めるべきと信ずるのであります。 前置きが長くなりましたが、私はこのような見地に立って原子力発電に対する諸問題について、以下質問いたします。 まず、一般論になりますが、第1に、原子力発電なしに将来のエネルギーの展望はあり得るかということです。電力をはじめとするエネルギー源は、産業の米であり、国民生活の必需品です。昨年暮れの石油危機は、ある意味において、世界的なエネルギー危機に背を向けて安穏としていたわが国に対する警鐘でありました。ここでいまさら強調するまでもなく、現在の石油危機が単に中東戦争だけの産物でなく、世界の石油の需給関係から見て長期的なものであり、必然的なものであることです。世界の先進工業国エネルギー巨大消費国の中で、わが国は石油を99.7%まで輸入し、総発電量の65%まで石油火力にたよっており、その石油依存度は格段に高いのであります。したがって、石油ショックと石油価格の4倍増は直接日本経済に影響して、GNPは前年度比ゼロ成長またはマイナスに落ち込んでいる現状です。 いまや脱石油、代替エネルギー源への要請は焦眉の急でありまするが、太陽熱、地熱、石炭の液化ガスなど代替エネルギー源については、実用化の時期において、また開発可能量の点で、いずれも当面の役には立たないのであります。まして、御存じ文藝春秋11月号「原子力船「むつ」と日本学術会議」の項に紹介のあった、社会党が47年の選挙の際提言されたという一案、つまり「ネパールのヒマラヤ山脈で水力発電を行い、オホーツク海を締め切って寒流をせきとめ、発電に使うとともに、北海道のツンドラを沃野にかえる」という構想はまことに気宇広大でありまするが、その実現は困難と言わねばなりません。本年7月、総合エネルギー調査会はその中間答申で、わが国の1次エネルギー供給可能量の将来から見て、省エネルギーの必要性を一段と指摘するとともに、無資源国日本の立場から見て、石油に代替する最も有利なエネルギーとして原子力発電の必要性を強調しております。世界の主要工業国エネルギー危機の活路を原子力発電に求め、原子力への傾斜はいまや世界的な流れであります。しかも、石油価格4倍増で、火力と原子力の経済性は完全に逆転しました。各国の現在運転中の原子力発電はアメリカ42基、イギリス29基、ソ連20基、西ドイツ11基、フランス10基、カナダ7基、日本7基であります。 ここで念頭に置かなければならないことは、日本の石油消費量はアメリカに次いで世界第2位であることです。総合エネルギー調査会は、60年度には6,000万キロワットの原子力発電が確保されなければ、わが国のエネルギー需給の見通しはつかないとしております。しかるに、わが国における原子力発電所の建設計画は遅々として進んでおりません。46年度こそは着工が決定した原子力発電所は523万キロワット、計画目標に対して137%と好調でありましたが、47年度決定分は110万キロワット、計画目標のわずか28%、48年度には着手率ゼロと落ち込んでいるのであります。この原因は、主として環境保全と安全性を問題とする地域住民の熾烈な反対運動によるものと考えられまするが、このままでゆくならば、わが国のエネルギー危機は遠からずデッドロックに乗り上げることは必至であります。いまや原子力の平和利用に対する国民的合意と地元住民の協力をとりつけることが緊急の要務です。 以上、原子力発電エネルギー源としての必要性を述べてまいりましたが、知事はどう考えておられるのか、また地元住民の協力確保にどのような指導性を発揮していかれるのかお聞きいたします。 第2は、原子力発電の安全性の問題です。 前述したごとく、核アレルギーの強いわが国において、原子力発電の安全性の認識いかんは、原子力発電所建設とうらはらをなすものであります。この問題については、建設推進派と反対派の間では並行線であり、学者間にあっても、その立場により異論があります。知事も私も、専門家でもなければ学者でもありません。しろうと同士で専門的な論議はこの際遠慮して、専門家による具体的資料を提示して、知事の御意見をお聞きしたいと思うのであります。 1つは、米国原子力委員会が本年8月に発表したラスムッセン研究報告書であります。これはマサチューセッツ工科大学のラスムッセン教授ら60人の専門家グループが2年間かかってまとめた「確率論的に解析した原子炉安全性の調査結果」です。この要点をあげるならば、1、冷却水の喪失や原子炉緊急停止装置の作動おくれで炉心が溶解するような事故の発生確率は、原子炉1基当たり年1万7,000分の1である。2、炉心溶解の結果、放射能が炉外に放出し、周辺住民の健康に被害を及ぼす人身事故となる確率はその10分の1、つまり原子炉1基当たり年17万分の1である。3、100基の軽水炉型商業発電所があって、周辺住民に人身、財産上の事故が起きる確率は1,700年に1回の割合である。4、100基の原子力発電所の敷地から32キロ以内の距離に1,500万人の周辺住民がいるとして、これらの人々が原子炉の放射能事故で死ぬ確率は25年に1人、負傷する確率は同2人、これは落雷事故死者の200分の1、交通事故はもちろん、洪水、火事の死傷者よりはるかに低率である。 100基の原子炉の年平均死亡事故発生確率は3億分の1に対し、自動車事故は4,000分の1、航空機事故は10万分の1でありまするから、いかに安全に対して万全な配慮がなされているか、理解されてもよいのではないでしょうか。 アメリカの資料のみを引用しておりますと、片手落ちであると批判されると悪いので、共産圏、ソ連関係のものも引用します。 本年1月、ソ連の原子力視察団が訪日したおりに、視察団と三宅正一代議士ら社会党議員が懇談した際の応答が、参議院科学技術振興対策特別委員会の資料としてあります。その要旨によるならば、「日本の原子力開発は国土が狭く広い国土のソ連とは事情が違うと思うがどうか」という社会党側の質問に対し、ソ連側のモロホフ団長は「日本のエネルギー事情からみると、日本では原子力以外に選択の余地はない。ソ連は国土は広いが原子力発電所は都市に近いところでやっている」同じく社会党「日本の原子炉の安全性については確信がもてない。ソ連で都市のそばに炉があるのは安全性に確信があるからか」との問いに対し、団長は「そうした懸念がなければ科学者は改善の意欲を失うだろう。しかし科学技術の歴史をふり返ってみると、原子力ほど安全について慎重な配慮をされたものはない」社会党側「しかし日本には住民の不安があつて世界のどの国よりも安全基準について厳しい必要がある。」モ団長「日本の原発プラントは格納容器があるが、ソ連ではそれはない」社会党側「関電の美浜では熱交換器の故障やら出力低下やらがおこっている」モ団長「どの国でもいろんな故障の経験はある。たとえばフェルミ炉(米)の燃料溶融事故があったが危険はなかった。いかなる原子力発電所の故障においても放射線が出て重大な事故を起こしたことがない。われわれは原子力発電所の安全性について心配はないと信じている」社会党側「日本では安全性を解明するための資料が公開されていない」モ団長「ソ連では発電所の設計など資料は発表しない。それは一般国民には意味のないことである」社会党側「原子力船はどうか」モ団長「原子力船は安全かつ有効との自信を持っている」 いささか冗漫になりましたが、このような応答がなされているのであります。 以上、政治体制の違う2国の資料を提示しましたが、知事の率直なる評価をお願いしたいのであります。 次に、本県の原子力発電関係の質問に入ります。まず第1点は、県原子力行政機構の整備、強化についてであります。 柏崎原子力発電所については去る7月、電調審、電源開発調整審議会が通り、国の電源開発基本計画に組み入れられました。この後は原子炉設置許可申請に基づいて、国の安全審査を経た上で着工ということになります。いわばこれまでの誘致、推進の段階から建設の段階に入ったわけです。したがって、今後舞台は主として東電と国の関係に移されることになるわけですが、この段階における県の原子力行政上においての位置づけ、責任、権限などについてお聞きしたいのであります。 今後、県は建設に関連する一連の許認可事項、あるいは電源三法に基づく関連業務、周辺地域整備計画の立案推進などはもちろんですが、基本的には住民の安全と健康を守ること、調和のとれた地域開発に責任を持っていかなければならないことなどを考えると、いままでの県の原子力関係の行政機構では残念ながら弱体であり、しかも各部に散漫、調整が十分とは言いがたく、これらの要請にこたえ切れないことを危惧するのであります。この際、たとえば主管部を企画調整部とし、エネルギー対策室を設置して窓口を一本化するといった機構改革を行ない、原子力行政を充実強化させる考えはないか。 また、これに関連して国の出先機関の問題です。現在、科学技術庁の出先機関が原発稼動中の茨城県と福井県にあり、原子力発電安全性確保の指導、監督の任務に当たっております。原子力行政に責任を持つ国としては、本県のごとき建設過程にある県にこそこの種の出先機関を設置すべきであると思うのであります。電調審をパスした現在、県は早急に国の出先機関の誘致に乗り出すべきであると思うが、その意思があるかないか、お聞きいたします。 その第2点は、周辺地域開発整備計画についてであります。原子力発電は、地域住民のいろんな意味での心配の中で進められる巨大な事業だけに、地域社会の開発と調和した中で進められなければならないことも確かなことであり、また関係地域が実際にメリットのあるものでなければなりません。この意味から、前国会で発電用施設周辺地域整備法電源開発促進税法及び電源開発促進対策特別会計法のいわゆる電源三法が成立したことはまことに意義があり、わが柏崎原子力発電建設推進にも大きなかてとなると思うのであります。この三法の内容についてお聞きすることは省略しますが、周辺地域整備法に基づいて知事が指定することになっている周辺地域の指定、いわゆる線引き作業はどうなっているのか。現在、積雪・地域振興課で進められているようでありまするが、区域設定がきまらなければ、その開発整備計画も進まないわけでありますから、いつごろ発表になるのか、また通産大臣の承認を経て交付金等の形で関係地域にメリットがはね返ってくるのは何年度からになるのか、お聞きいたします。 その第3点は、公聴会の問題であります。原子炉設置許可申請があり、安全審査が開始されると、原子力委員会は公聴会を3カ月以内に開くことになっています。この公聴会の開催の是非については、6月県議会でも論議されたところであります。その際知事は、「福島の例のように、何のためにやったのかわからないような公聴会では意味がないのではないか。ほんとうの意味で住民の質問に答えて、そして納得がいけるような、騒ぎの起こらないような公聴会なら賛成であるが、なかなかそういう傾向になるかどうか不安が多い」と述べられているのでありますが、確かに福島方式と申しましょうか、賛否双方の側からの意見の陳述にとどまり、あとから回答が文書でなされるという形では形式的で、開催された効果は少ないと言わねばなりません。より効果的な運営を研究しながら対応していくことも必要でありましょう。設置許可申請もさほど遠くないと考えられる今日、もし開くとするならば、いかなる形式と方法でやられるのか、お聞きしたいのであります。 その第4点は、地盤問題に関連して、県の分析調査についてであります。県は東電が先月19日県に提出した、いわゆるなま資料に基づいて専門家の協力を求めて調査分析し、問題点の指摘を行なうことになったと聞いています。この委託調査の目的は、今回東電が提出したなま資料を分析し、調査のしかたに不備はないか、分析に疑問点はないかをチェックして、国の安全審査に提言することにあると思いまするが、これまでの東電の提出資料だけで不十分な場合、当然東電に対し科学的な分析に必要なだけの補充資料の公開を求めるべきであります。また、調査日数はどのくらいを予想されているのか、さらに、東電の原子炉設置許可申請とのからみ合いについて、県の立場などについて知事の考え方をお聞かせ願いたいのであります。 以上で原子力関係の質問を終わります。 質問の第2の柱として、福祉施策を取り上げてみたいと思うのであります。 国、地方を通じての総需要抑制によるきびしい財政運営のもとで、福祉優先の姿勢を現実に予算の面で貫いていくことは容易でありません。その中で、本年度県予算現計で社会福祉に関係のある民生費を見ますると、民生費、衛生費は約108億円で前年比13.7%増、衛生費は約94億円で前年比14.4%増と、県の努力のあとが見られるのであります。具体的な福祉施策の面で見ましても、前知事時代に始まった妊産婦、乳幼児の医療助成事業や老人対策、コロニー白岩の里建設を引き継いで、知事が心身障害児者対策県民医療対策など、かなり濃度の高い事業を推進してこられたことには敬意を表するものであります。 戦後の社会、経済構造の変化や権利意識の高揚により社会福祉に対するニードは急激に増大し、かつ高度化、多様化してきております。最近のようにインフレによる生活不安が高まれば、一そうであります。一方、これに対応すべき社会保障制度社会福祉体制が必ずしも十分に整っていないこと、さらには福祉社会実現に必要不可欠な社会連帯意識が希薄であることなどが、社会福祉施策の推進をはかる上での大きな隘路となっているのであります。 そこで私は、来年、50年度県単事業における社会福祉施策のあるべき姿、基調といった面に焦点を合わせるとともに、リハビリテーション対策についてお聞きしたいのであります。福祉施策を取り上げる場合、いつでも問題になりますることは、開発と福祉のどちらを優先するかということでありまするが、私どもは、成長と福祉は矛盾するものではなく相互に連環しながら程度を高めていくものと考えております。知事は就任のあいさつにおいて、「自然と人間と産業の調和のとれた県政を積極的に展開することにより、魅力と活力にあふれる真の福祉県新潟を築く」と述べられておるのでありますが、福祉施策に造詣の深い知事に対し、県民の期待するところが大きいのであります。最近のようにGNPも停滞しがちの社会経済情勢を踏まえながら、知事が県政の中における福祉施策の比重をどのようにとらえておられるかを、まずもってお尋ねいたします。 さらに、私どもは福祉施策につきましては、斉合性と計画性を強調するものであります。老人、乳幼児、心身障害等、福祉施策の対象は限りないものがあります。しかし、愛の手は全部に均てんされるべきであって、どれか一つだけが走り過ぎてもいけないのであります。三木新総裁も、国民の中の不公平感をなくすることが大切だと語っております。 私は先般、ある身体障害者関係の団体と県当局との要望の場にい合わせたのでありまするが、席上、「東京都では実施しているのに本県ではなにゆえ実施してくれないのか。私は新潟県のような貧乏県に生まれたことが悲しい」という発言がありましたが、その適否は別といたしまして、このような意識が沈でんするようなことがあってはならないと思うのであります。本来、福祉政策は地域的に、階層的に、また態様的に平等であるべきであって、これは根本的には国の責任ではありますが、県内でもある部門は非常に施策が進んでいるが、ある部門は非常におくれているということがあってはなりません。 また、計画性についても、限度のある予算の中ではニードの妥当性と緊急性を選別して、長期的視野に立った年次的な実施計画の積み上げが必要でありまするが、何しろ人が相手でありますので、道路5カ年計画といったようになかなかまいらないと思いまするが、行政需要の的確な把握に必要な調査の実施や統計情報の体系的な管理の強化によって、適切なる県計画の策定をぜひお願いしたいのであります。従来の福祉施策実施の過程を見て、いわゆる当たりの強いところが優先したり、住民要望に押されてあと追い行政になったりすることがあってはなりません。いわんや思いつき施策は、お恵み施策に通ずるのであります。今後の施策の立案、実施について十分な配慮を要望するものであります。 福祉施策を考える場合、施設整備も大切なことでありまするが、第一義的に考えなければならないことは、すべての老人、心身障害者から生きがいのある人生を送ってもらうことであります。県においても、これまでそうした人々に対する生きがい対策を進めてこられましたが、まだまだ十分とは言えません。また、これまでコロニーをはじめ幾多の社会福祉施設の整備が進められてきましたが、これとても需要を満たすまでには至っていないのが実情であり、家庭には多くの寝たきり老人心身障害児者が愛の手を待ちわびているのが実情であります。今後、高福祉社会の実現を目ざす本県として、こうしたところに視点を当てた生きがい対策、在宅福祉の充実が最も緊急課題と考えるのであります。 以上、一般論的な基調に触れましたが、それらについて知事のお考えをお聞きします。 次に、リハビリ対策についてお伺いします。先月6日、県医療機関整備審議会は約1年間にわたった審議に基づき、本県のリハビリテーション対策について県に答申を行ないました。この答申の結語を引用いたしますと、   リハビリテーションの理念は、すべての障害者に社会人としての意欲と希望を持たせ、自ら進んで障害を  克服し、社会活動に参加できるようにすることにある。   従って、安易な庇護対策のみ走らず地域社会に密着して生きて行けるよう障害者の生涯展望にたった一貫  した施策を講ずるべきである。   このため、県民全体の正しい理解と協力を基本認識とし、障害者に対し差別のない明るい社会を作ること  を終局の目的としたリハビリテーション体系の完成を期されたい。と述べ、本県のリハビリ対策については  1、障害者の発生予防とその治療等の対策  2、リハビリテーションネットワーク体制の確立  3、専門職員の養成並びに確保  4、関係機関との協力体制  5、事業の推進と財政措置などを積極的に推進することを要望しているのであります。 リハビリ施設を分類しますると、成人病、交通災害、労働災害などの後遺症や、生まれながらの肢体不自由児等の運動機能の故障を治療し、機能訓練する医学的リハビリ、もとの職業か新しい職業につかれるよう訓練する職業的リハビリ、社会復帰を促進するための社会復帰リハビリ、さらに教育リハビリと多様であり、県内のリハビリ施設の現状を見るとき、それらの施設が横の連絡のないままにばらばらに行なわれているのが実情であります。 県行政の立場から見まして、医学的リハビリは衛生部、職業的リハビリは民生部と商労部、社会復帰的リハビリは民生部、教育リハビリは教育委員会と、所管が分かれております。たとえば同一施設内でありながら、ある部門は教育委員会に伺いを立て、ある部門は民生部にお伺いをしなければならないといった複雑、煩瑣な仕組みになっているのであります。また、施設を出て職業訓練を受けようと思っても、県内には専門の職業的リハビリ施設がない、あるいは施設と養護学校、普通校、特殊学級などの連絡がスムーズでないということが常にあるのであります。同じことはリハビリの対象者についても言い得るのであります。答申においても、相互の有機的連携が可能なネットワーク体制を確立することが最大な責務であり、さらに発生予防から登録管理、治療、訓練、アフターケア等の一元的システムをはかるべきであると指摘しているのであります。 私どもが各種障害者関係団体や施設関係者と懇談しても、必ずこの横の有機的連携と一元化について苦衷を聞かされるのであります。知事のリハビリ対策に対する理念をお聞きいたしまするとともに、これらの要望を受けて関係部局間のリハビリ関係部門の窓口を一本化するとか、リハビリ対策室、あるいは少くとも副知事を長とする関係各部局長、課長による常設的な連絡会議をつくり、せっかくの諮問答申の要望の実現と進行管理につとめ、あわせてリハビリ対策行政の効率化をはかる御意思はないか、知事の決意をお伺いいたします。 以上をもって私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 吉川議員の御質問にお答えいたします。 まず、エネルギー問題についての御質問でございます。御指摘のように原子力の平和利用は、現在人類の要求しております課題といっても過言ではないのであります。特に日本におきましては、御指摘のようにエネルギー源が現在の状況においてはほとんどない。また、先般の48年10月以来の石油ショックによってこのような経済的の大混乱を起こすのも、やはりエネルギー源がないというのが根本原因でありますので、国といたしましても、今後のエネルギー源として原子力エネルギーに最大の関心を持っておるのでありますし、これは世界的な傾向でもあるわけであります。先般むつの問題が大きく、御指摘のように喧伝されましたが、これは一時期いわゆる実験段階における一つの試行錯誤であります。このようなことは、今後いろいろの面で出てくる可能性もありますが、安全性の確保については最善の努力を重ねていかなければならないと思うのであります。 私も3年前に米国を視察いたしまして、4カ所の原子力発電所の施設を視察し、また政府機関の責任者といろいろ討論を行なってまいったものでありますが、やはりアメリカにおいても安全性の確保ということに最大の配慮がなされておりますが、少なくとも一般的認識におきましては、原子力は最も危険の少ないものという印象がむしろあるわけであります。御指摘のようにアメリカにおいてもさようでございますが、ソ連におきましても、モロホフ氏の言をまつまでもなく、ソ連の国家原子力利用委員会の幹部の意見も、社会主義国においても現在は原子力エネルギーが最も大きな関心事であり、これの推進に大きな力をいたしておることがはっきりいたしておるのであります。 しかし、わが国におきましては、原子爆弾の唯一の被爆国であるということから、原爆イコール原発、何か混同しがちなような恐怖感があるわけであります。私ども、そういう日本の特殊性をよく認識いたしまして、安全性の確保には他国以上に十分今後も努力をしてまいりたいと考えておるものであります。 また、県の原子力行政機構についてでございますが、原子力平和利用に関します県の基本方針の決定をはじめ、関係業務の連絡調整につきましては、副知事、関係部長からなります原子力平和利用調査連絡会議において措置をいたしております。御指摘のように、原子力行政が非常に窓口が多い。確かに窓口業務、諸調査、啓発関係等は現在、商労部でやっております。また、事前調査にかかわります環境放射能調査は生活環境部、漁業影響調査は農林部、また電源三法にかかわる地域整備計画は企画調整部、道路許可、農地転用等はそれぞれの所管部局にわたっております。したがいまして、きわめて繁雑ではありますが、これらの多岐にわたる業務を1つのセクションにまとめておくということは非常に困難があるわけであります。したがいまして、必要に応じて副知事を中心とした連絡会議を常に持ちまして、御指摘の点を十分配慮してまいりたいと考えておるものであります。 また、科学技術庁の出先機関といたしまして、茨城県水戸に原子力事務所、福井県、福島県両県にも原子力連絡調整官事務所が設置されておるのは御指摘のとおりでありますが、しかし、現在のところ建設準備中の県にはそういう出先機関がないのでありまして、御説のようにもっともでございまして、われわれも常に要望しておりますが、設置については国に強く要望してまいりたいと考えております。 発電用施設周辺地域整備法に基づきます指定地点は、本県におきましては、次の5カ所となっております。柏崎原子力発電所、新潟共同火力発電所、東新潟火力発電所、奥清津水力発電所、第二豊実水力発電所、5カ所でありますが、そのうち聖籠村の火力発電所にかかわります整備計画の策定対象市町村をどう定めるかにつきましては、現在検討中であります。また、奥清津、第二豊実水力は当該市町村のみが対象となっておるのであります。問題の柏崎原発につきましては、柏崎地区に第1号基が設置されるか、あるいは刈羽村に第1号基が設置されるかによって若干の違いが出てまいりますが、これらについて現在検討いたしておるわけでございます。 また、整備計画の期間は、原発、火力とも着工年度から完成までの間でありまして、5カ年を限度としておるのであります。したがいまして、地元が交付金事業のメリットを受けるのは、その整備計画策定後になるわけであります。 また、公聴会の問題でございますが、これは再三私、御答弁申し上げておりますが、現在まだ東京電力から原子炉設置許可申請がなされておりませんので、知事に対する正式な照会は来ておりません。もし開催することになりますれば、国の開催方法を十分検討いたしまして、できるだけ協力してまいりたい。しかし、先般来申し上げておりますように、いたずらなる混乱の起きるだけの公聴会については十分警戒してまいりたいというふうに考えております。 また、地盤の問題でございます。先月の19日に提出されました地盤に関する基礎資料は、現在問題とされている部分でありますので、さらに今後は必要に応じて追加資料の提出を求めて、徹底的な地盤の適否についての検査を検討することといたしております。しかし、国会におきまして、新しい足立科学技術庁長官が申しておるように、腹の底から信頼してもらえるような審査を行なうと長官が断言しておられます。したがいまして、県といたしましても、これによって最終的な解明をされることを期待しておるのでありますが、地盤の問題は特に地元の問題でもあり、このところ地元の住民の方々の不安も高まっておるわけでありますので、県といたしましても、専門家等の協力を求めて問題点を指摘して、国の安全審査の場合にさらにこの点を注意し、提起いたしまして、いままでより、より綿密な、的確な審査を要望してまいる所存であります。県の行なう検討の期間はやってみなければわからないのでありますが、おおむね二、三カ月というふうに考えております。 次に、福祉問題でございますが、本年5月の臨時県会におきます就任のあいさつで、私は自然と人間と産業の調和のとれた県政を積極的に展開することを申し上げたわけであります。これが私の基本政策であります。いわゆる産業と開発と福祉というものは車の両輪でありまして、両々相またなければ真の福祉県の建設は困難であると考えておるものであります。今後ともそういう基本に立って、いろいろの福祉政策をとってまいりたいと考えております。 現在、長期構想の改定をやって検討中でありますが、長期的視野に立って均衡のとれた社会福祉施策の推進方策という考え方でいま検討を進めております。 また、老人や心身障害者等のいわゆる弱者といわれる人々に対しまして、事情の許す限り、まず原則として居宅において家族のあたたかい理解のもとに生活を営むことが理想でありますので、その理想に基づいてやると同時に、それが不可能なケースに対しては施設の整備をはかってまいりたいと思うのであります。御説のように、不公平感のない社会の建設ということが最も大事であろうと思います。 次に、生きがい対策でございますが、これまでも就労の機会の増大とか、あるいは趣味の活動等を中心として積極的に取り組んでまいったわけでありますが、行政が先行する形で行なわれてきたため、十分な成果を得なかったうらみもあるわけであります。今後は老人や心身障害者個々の努力と、それをささえる家族、地域社会、自治体の努力、それらが混然一体となって共同作業にまで至るような考え方でやっていきたい。地域社会のボランティア、エネルギーの積極的な活用を中心に、町ぐるみ、住民参加による状態で真の福祉対策に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、リハビリ対策でありますが、県の行政の分野におきましても、お話のように民生、衛生、病院局と分かれております。しかし、現在それぞれ伝統と歴史を持って進んでまいった施設でありますので、一挙にこれを一元化することはきわめてむずかしゅうございますので、3部局長会議等において十分調整をはかりながらその対策を進めているところでありますが、なお今後リハビリテーションの供給体制の確立にあたりましては、それぞれの機能分担を明確にしながら、関係機関並びに部局の連携を密にして、真に障害者の一生涯の展望に立った一貫した施策を講じてまいりたいと考えております。 また、リハビリテーション対策室のような御要望に対しましては、現在いろいろ検討いたしております。必要ならば、先ほどの原子力行政のような副知事を中心としたそういう連絡機構を密にするか、あるいはその調整対策室のようなものをやったほうがいいか、これらについて十分検討してまいりたいと考えております。 以上で答弁を終わります。   ――――――――――――――――― ○議長(角屋久次君) 次に、中川三七君の発言を許します。   〔中川三七君登壇〕(拍手)
    ◆中川三七君 党議員団を代表いたしまして、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 すでに御案内のとおり、去る11月7日から11月17日までの10日間、新発田市において保革一騎打ちという歴史的な市長選挙が行なわれたわけであります。この戦いはある意味では明年度行なわれます地方統一選挙、なかんずく新潟市長選挙の勝敗に何がしかの影響を与えるものであり、その限りでは新発田市民はもとより、県民ひとしくその行くえを注目していたところであります。 ときたまたま、告示前日、すなわち11月6日でありました。長い間、最高裁司法の手によって審理が続けられてまいりました、いわば猿払事件の最終判決が下されたのであります。本件は、御案内のとおり下級公務員である郵便局員が、休暇をとって特定候補者のポスター張りを手伝った件、並びに全農林の労働者が特定候補の個人演説会場における司会役をつとめた件でありました。すでに広く支持をされてきました公務員の政治活動の自由に対する二審判決を破棄し、あらためて有罪の判決を下した事件であります。 最近における司法の反動化のあらしは、心ある人たちを暗い気持ちに追いやっております。世論や法律学者の常識を踏みにじったあまりにも意図的な判決に対しては、怒りを押えることはできません。確かに最近における反動的な最高裁の人事の布石を見る限り、この種の判決が予想され得るものであったわけでありますが、さすがの検察庁でさえ、これまでの判決は期待をしていなかったというささやきがなされるほど激しいものであったわけであります。 御案内のとおり、一郵便局員が休暇をつぶして、最も単純な作業といわれるポスター張り、実際上これが何ほどの影響を国民に与えたというのでしようか。政治運動の中における公務員の地位利用というのは、本来高級公務員、具体的には行財政権を有している立場の人たちに対して適用されるものであることは、理論的にも実態的にも明らかにされてきたところであります。私たちは、最高裁の権威を著しく低下させたこのような反動的な判決を容認することはできないし、あくまでも固有の権利として憲法上保障されている政治活動の自由を守るために努力を続けたいと思います。しかしながら、たてまえを抜きにして、現実に立たされた場合、そこには明らかに有罪の判決が下されていたのであります。 さて、このからみ合いを念頭に置いていただき、本論に入りたいと思います。 君知事は、新発田市長選挙、具体的には島田不二男候補を支援のため、数回にわたって新発田市を訪れております。その中で、君知事は、個人演説会場並びに街頭演説会など市内至るところで、不特定多数の聴衆を前に次のことを訴えています。時間の関係上、詳細にわたって触れることはできませんが、ここに一部を御紹介申し上げます。県警本部長も耳を澄まして聞いておいていただきたいと思います。 富樫革新候補者が市民の皆さんに幾ら選挙公約を並べ立ててみても、しょせんそれは絵にかいたもちにしかすぎません。たとえば道路一つとっても、学校一つとっても、また病院にしても、起債を仰ぐにしても、すべて私の手を経なければできない仕組みになっています。第一富樫君は、私のところへは一度もあいさつに来ていないし、陳情も来ていない。そんな人に全く協力する気はないし、またやってやる気は全然ありません。大体私は、革新なんかと全くはだが合いません。しかし島田候補が当選するならば、どんなことでも相談に応じて、すべて解決をしてあげますよ。だから島田候補を当選させることが、市民の皆さんの利益につながる道であります、ということであります。 私たちは新潟県の行財政権を一手に握っている君県知事であるだけに、そして性格的に権力を丸出しにしておおいかぶさってくる君県知事だけに、知事の主張が市民に対して、あるいは選挙民に対してどのような影響を与えたかについては、当時重大な関心を持たざるを得ませんでした。 そこで注意深く知事が回ったと見られるところをつぶさに調査点検をしてみたのであります。結果、知事の強引な言動が選挙民に及ぼした心理的影響は、次の3つの形の反応に集約されました。1つは熱狂的に支持されていました。すなわち中央直結、知事直結でなければ何一つ仕事はできないんだ。それは県知事君さんの話によってまことによく裏づけされたという喜びを押え切れない人たち。もう一つの型は、中間層、浮動層といわれる人たちの中で、これらの人たちは、従来中央直結の論理には強い疑問を持っていました。しかし、ほかの人なら信用できないけれど、現職の実権を持っている知事さんが、肩書きを全面に押し出して、ああまではっきり言い切るんだから、やはり君さんとつながらなければ市民の利益は現実には守れないんではないだろうかという反応でした。もう一つの型は、一県の知事たる者が、たとえ相手候補であるにしろ、あのような聞くにたえないばり雑音を浴びせるようでは、君自身の品格が疑われる、まことに不愉快きわまりない話である。もはや君さんの頭の中には権力だけがあって、県民がないのではないだろうか。忘れてならないのは、市長を選ぶのは君さんでなく、新発田市民ですものね。こういう形の3つに分けられたわけであります。 君知事、あなたはその限りでは疑う余地もない本県の権力者であります。いみじくも反応としてはっきりとあらわれてきているように、ほかの人ならいざしらず、一県の知事が肩書きを全面的に紹介させておいて、ああいうことを言い切るんだから間違いがないだろう、あなたはそのような影響を与えるに足る権力の座にいるのであります。まさしく上級公務員の地位利用とはあなたの言動をさすのであります。公務員の政治活動、地位利用を禁止しているのは知事、あなたたちのことを深く指さしているのであります。 猿払事件の判決の関係からいく限り、だれがどのように言い開きをしようとも、明らかにあなたの言動は公職選挙法違反に抵触しているのではないでしょうか。私は、その疑いは濃厚であると考えます。もとより私は、あなたの言動を束縛しようとは毛頭考えていません。同時に小児病的な立場で指摘しているのでもありません。ただ法のもとで平等でなければならないという立場から、あなたの責任を追及しているのであります。この問題は、ただ単に新発田市の中で起きた問題ではありません。 現に、あなたを支持しておる多くの県民が、あなたの権力的な発想に驚きと戸惑いを訴えています。そしてやがて時がたつに従って、あなたに対する怒りに変わってきていることを、あなたは考えてみたことがあるでしょうか。この問題について、知事の所見をお伺いいたします。 さて県警本部長、あなたも聞いておられましたように、いま私が申し上げたのは事実であります。この種の問題こそ、猿払事件判決から行く限り、文字どおり利益誘導、地位利用の最たる見本であると思いますが、本部長の見解をただしたいと思います。私は、明らかに公務員の地位利用であると思うし、これほどわかりやすい利益誘導はないのではないかと思います。これが名実ともに実権を握っている高級公務員の地位利用、利益誘導でないならば、私が理解できるような説明をお願いします。 次の問題に移ります。ただいま申し述べましたように、君知事を先頭にする権力者の法を無視したあまりにも強引な地方選挙戦への介入は、警察当局のあいまいさと相まって、新発田市においてはある種の無法地帯的なムードが醸成されたのであります。その結果、当然の帰結であると思いますが、全国でも初めてといわれる、最も悪質な選挙用ポスターの大量破棄事件に発展していったのであります。 事件の概要について触れたいと思います。投票日前日、両候補陣営では、期せずして最も選挙民に対して効果的な宣伝として、大半のポスターを投票所付近に移動し、目から見た最後の訴えに力を入れました。ところが翌朝11月17日午前2時前後、すなわち投票日当日、投票所付近に集結された富樫会候補者のポスターだけが、4投票所地区、総計100枚をこえるポスターがたたきこわされたのであります。事件現場の状況から推して、一見して単独で行なえる犯罪ではないのであります。いわば、組織的、計画的な犯行であることは、しろうとの目でもうなづけたのであります。全国にも例のないきわめて悪質な犯罪行為に対して私たちは直ちに所轄警察署の出動を求め、適正な措置を要請いたしました。犯罪が行なわれたのは真夜中でしたので、私たちは念を押す意味で、初動捜査の重要性を考慮し、証拠固めにあたり誤りのないように、再三にわたって要請しました。 なぜしろうとの私たちがそのことをくどくど申し上げたかといえば、警察当局が投票日当日という理由から、事件現場の復旧をたいへん急いでおったからであります。私たちは、大きな疑問を抱きました。はたして、あの暗い真夜中で、あれだけの時間で証拠固めができるのであろうかということであったわけであります。しかし、この疑問に対して警察当局は明快に万全の体制をとりました、こういう返事であったのであります。 今次発生したポスターの大量破棄事件は、いま事もあろうに現地では、あたかも警察当局をあざけり笑うように、しょせん犯人をあげることはできないだろうという見通しで、富樫陣営でいわば自分たちのポスターを自分たちの手で破っておいて、自作自演をやってのけて、事もあろうに他人になすりつけているとは、全くもってのほかである、現にそのポスター破りを私は見ています。こういう宣伝をしております。なるほど犯人がきまらない限り、犯罪の実態をあばき出さない限り、そのような理屈も成り立つのであります。 しかし本部長、もうそこまで行けば、一体警察の威信はどうなっているのでありますか。農村部の限られた狭い地域であれだけの仕事をやってのけているのであります。しかも車を使っての仕事であります。深夜だけに車の音が聞こえているはずであります。必ずだれかが目撃しているのであります。いま多くの市民の中から、一体警察は、この組織的な犯罪行為に対して、ほんとうに解決しようとしているのだろうか、こういう疑問を持ち始めています。前回の参議院選挙では、革新の人々に対して形式的な個別訪問についてでさえ、シラミつぶしで捜査を展開し、何が何でも犠牲者をつくり出しているではありませんか。形式犯といわれる個別訪問にはあくまでも厳重に対処し、全国にも例がないといわれる投票日当日における100枚をこえるポスター破棄事件という最も悪質な大事件が原因がわからないまま経過してしまうことになれば、もはや不公平な取り扱いというそしりは免れないといわれています。 口の悪い人々の間では、警察は右目をつぶって左目だけをあけているとささやかれています。本部長、厳正、公平、中立という方針が失われたとき、警察の権威は色あせてしまうことを考えてください。次のことについてお伺いします。現在の捜査状況を示してほしい、2番目に、犯人逮捕の見通しや決意のほどをお伺いいたしたいと思います。 次に、人事問題を最後に譲りまして、国際協力大学誘致にかかわる問題について質問いたします。 そこで、おわびをいたしておきますが、この通告の中には、金脈問題にかかわる諸問題ということを出しております。実は、社会党のプロジェクトチームで、いわば田中さん直系といわれる県内田中版の問題について、いろいろ調査を進めてまいりました。そしてその中で、幾つか議員個々にわたる諸問題も出てまいりました。それだけにいろいろの証拠を調査する必要がありますし、間違ってしまうとたいへんなことになりますので、この問題はあとに譲るといたしまして、国際協力大学の問題についても、そういう視点ではなくて、別な問題として取り上げたいと思うわけであります。 大和町、六日町にまたがる地内、いわば通称八色原で御存じのように魚野川東部開拓パイロット事業が昭和40年に着工し、昭和51年完成の予定で進められております。総面積約2,601ヘクタール、総事業費約79億円に及ぶ大事業であります。その中で昭和49年度までは67億円の経費が投じられ、現在では達成率約85%となっています。昭和48年度分までの工事費、53億円に対しては、県負担分は9億5,000万円となっています。 さてこの土地は、関越高速自動車道のわきになっていますが、ここに国際協力大学を誘致しようとしておるのであります。結論から申し上げますと、すでに大和町においては国際協力大学が誘致されることを前提にして、20万坪に及ぶ広大な土地を、総額7億円という巨費を投じて土地を取得しているのであります。総予算13億から15億円という程度の財政規模の自治体が、7億円に及ぶ土地代金の借金を背負わなければならないことは、住民の立場に立つ限り、黙視し得ないところであります。 私たちは、県当局の直接の関係機関、すなわち窓口と思われる企画調整課、文書学事課、地方課のそれぞれの責任者に来ていただき、国際協力大学の内容をただしてみたのであります。結果、共通して答えていることは、事務当局の段階ではいずれも、正式な相談は受けていません。ただ散発的な意見や情報としては、それらしいお話は聞いています。ただ現在の財政法のたてまえからするならば、この種学校法人に対して、公的な立場での補助や助成は全くできません。道は完全に閉ざされています。窓口そのものでさえ大学以上は文部省が取り扱うことになっています。またそれでなくとも、住民の要望をたくさんかかえている今日、財政力の非常に乏しい地方自治体が、学校法人などに対して多額の財政負担をすることは厳につつしんでもらいたい。そのことについては行政指導も行なってきました、ということであったわけです。 一方それらの事務当局レベルとは全く別に、新聞によると、11月4日、東京のパレスホテルで開かれた財界人との懇談会には、君知事と大和町町長が出席しています。その中で知事は、なかなか微妙な問題もあり、小委員会で検討を進めるようだ。設立は決定しており、受け入れ側の県、大和町としては、敷地の提供など物心両面にわたって協力を進める、といっているのであります。 そこで私は、君知事から明らかにしてもらいたいことは、第1点、国際協力大学構想というものがあるのか、あるいはそれを十分承知しているのか、お聞かせいただきたいと思うわけです。事務当局も議会も知らないところで、着工へ向けて進められているということになると、行政上一貫していないのではないだろうか。問題は、知事だけが知っておっては決して明朗な形ではないと考えます。承知しておるならば、むしろ正式な行政サイド、県政ベースに乗せられてしかるべきだと思いますが、その辺についてお伺いいたします。 第2、関係行政機関をただしてみた結果、共通していることは学校法人の設立にあたっては、自治体から財政的な負担並びに援助関係では全く不可能という説明を聞いています。特に財政秩序を保持しなければならない知事が、地元負担、県負担が伴ってくるような会議に出席したり、またある意味では大和町に何らかの財政援助について淡い期待を抱かせるようなまぎらわしい発言は、もしその気持ちがあるならば別です。その道がかりにふさがれておるとするならば注意をすべきではないでしょうか。これらの点について知事の所見をお伺いいたします。 すでに大和町においては、20万坪の土地の契約を95%近く終えており、6億1,000万円の支払いが地権者の間に完了し、余すところ5%の支払いが登記上残されているのみであります。反当100万円、総額7億円に及ぶ借入金は、よしんば超過借入であれ、大和町の財政的な立場からするならば、私は、死活にかかわる問題であると心配しています。ことに8%の利息を考えた場合、なおのことであります。私は、大和町の町長や県の事務当局やその他の情報機関などからの情報や話の内容を精査点検してみるとき、私自身の判断から行く限り、不可解な部分が多く残されております。特に大和町町長からは微妙な段階に来ておるので、質問にあたっては配慮してほしいという要請も受けました。しかし私は、分析すればするほど、大和町の実態を考えれば考えるほど、特に総需要抑制や経済成長率の鈍化などから推して、ますます実現性が遠ざかっていくのではないだろうかという気がしてならないのであります。ますます悲観的な見方を強く持っておるわけでありますが、知事はこの問題に顔を出し、それぞれに激励のあいさつをしておるのであります。大和町の地元の人たちが当然あなたに期待を寄せているのも無理はないと思います。あらためてそれらの見通しやら構想やら財政負担の状況などお聞かせをいただきたいと思います。状況によっては取り返しがつかなくなってくるであろう大和町の現状を踏まえ、知事はどう対処していくのか決意のほどをお伺いをいたします。 最後に、人事問題についてお尋ねをいたします。 12月1日の新潟日報に人事異動構想が発表されております。佐藤出納長が日本赤十字社へ、その後任に矢野教育長が、中村監査委員の後任には大倉企業局長、そしてその後任の企業局長には市原総務部長が就任するなどとなっています。新潟日報の皆さんに問い合わせてみました。ニュース源は言えないけれども、事実であるという返事であり、若干の該当者にお尋ねしてみたら、当然かもしれませんが、知らないという返事でした。 知事あなたは、人事の君さんという名前をいただいていることを御承知のはずです。あなたはこのような時期にあのような人事構想が伝わることをどう思っていますか。職員の中にいたずらに混乱を引き起こし、行政の長に対する不信がますます拡大し、たいへんな反響が起きていることを御存じでしょう。それとも皮肉な言い方をすれば、ある種の動揺を読み切って、アドバルーンをあげ、そして慎重に反応を測定しようと試みているのでしょう。いずれにしても、人事配置や異動が不適切な時期に各紙に伝わることはあなたの責任だと思います。これらの点について御意見をお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 中川議員の御質問にお答え申し上げます。 まず最初の新発田市長選挙に関する発言の問題でありますが、戦い終わっていまさら申し上げたくもないのですが、若干中川議員のおっしゃることとニュアンスが違っております。私は、極力強調いたしましたことは、全く何と言いましょうか、数十にわたる公約がずらりと並んでおった。また、いわゆる中央直結の腐敗した云々というようなことが書かれてあった。その中に私は、はっきり現在も記憶しておりますのは、腐敗した中央直結の昭和45年の交付税は何億円である、革新になって住民直結の交付税はそれの3倍の何億円になった、こういうことです。したがって、むしろ住民直結の姿勢のほうが、交付税が多くなっている、こういうまやかしは困る。市町村自治体行政に対しては、どんな方が市町村長になろうが知事になろうが、政府の発案された地方交付税その他によって、基本的な自治体行政は行なえるように仕組んである。したがって、中央直結の市長の場合には交付税が減り、住民直結の市長村行政になると交付税がふえるというのは、これはまやかしである。だれがやっても同じである。そういうことをみな、しかもこのようなたくさんの公約は島田さんがなったってできっこない。こういうできっこない公約をやるのはけしからん。 ただ問題は、公共事業が問題なんだ。公共事業は時の政府が分配するのである。その時の政府と腐敗した中央と対決する住民直結、こういうような発言、これはきわめて遺憾である。したがって、市の発展とはつながらない。どうしてそういう分配者と対決して、むしろそのほうがよいという議論は成り立たんじゃないか。また陳情政治はけしからん、私は率直に言って、陳情政治がいいか悪いかの議論よりも、現実に行なわれているのが実態である。それによってわれわれも効果を得ている。相手候補は一ぺんも私のところへ来たことない。それでもし、むしろよくなるのはおかしいじゃないか。こういうようなニュアンスを申し上げたんで、まことに失礼を申し上げたかもしれません。私は、そういうことを抽象的に申し上げたんで、具体的にこの川をどうしてやるとか、学校をつくってやるとか、具体的な利益誘導は一つもしていない。そういう点をぜひとも御了承いただきたいと思います。 次に、国際協力大学の問題でございますが、これは実は昨年亘知事さんと中山素平さん、現在興銀の相談役、前の頭取でしたが、昨年のいつごろでしたか、私参議院におりましたときに、亘知事さんのところ、どちらが会見を申し込んだかわかりませんが、そのときに大和町に国際協力大学をつくろうという意思が財界にあるということが初めて県にわかったわけであります。そして御指摘のように、日にちは忘れましたが、11月4日でしたか何だかわかりませんが、そこで財界の首脳が寄られまして、私にも出席してくれ、こういう話があり、出席いたしました。その後中山素平さんが、また私にお会いしたいということで、日浦企画調整部長と秘書課長とお会いをいたしました。その際協力をお願いされたわけです。 いま私は、幾ら幾らどうするということは私の立場でははっきり申し上げられないが、いままでの例によりますと、たとえばいわゆる私立高校、そういうものが建設される場合には応分の援助をしておる、それらと大体似たような考え方から応分の援助をすることにやぶさかではない、可能であろう、しかしいま約束はできない、こういうことは申し上げております。大体20万坪、そういうことについては御指摘のようでありますが、これはいままでもたびたびあったんでありまして、向こうのほうに具体性が出てきた場合に、初めて課長以下担当のほうにおろすのが常でありまして、大体こういう話が概括的にあった場合には、部長とか副知事とか知事とか、そういうものがおおむね時期を見まして、事務的に話を進めるということでありまして、また中川先生のお話の中に、私が特に激励したとか大和町の人々云々というのですが、私は、この件について大和町の人に一ぺんも会っていませんし、町長からも特に依頼されたことはないのです。ただ中山素平さんが財界としてこういう考え方があるが協力をしてくれという依頼を受けただけでありまして、こまかい内容、そういう面についてはまだこれからの問題であろうかと考えております。したがって、金額その他については別問題でございますが、物心両面の応援をすることは正しいことでありますし、ぜひ議会の御了承も得たいと考えております。 まだしかし、具体的になっておりません。学校法人もできておりませんし、設立準備委員会もできておらない。まだ一部の首脳部の考えにあるだけでありますので、いまいろいろ云々することができないのですが、お話を聞きますと、かなりいままでと違った考え方による国際感覚を身につけました新しいタイプの日本人の養成を目的としておる。したがって、外国人の教授をたくさん加えて、外国語をマスターさせるとか、あるいは将来は付属高等学校、研究所、屋外分校等の設置も考えているということであります。もしこれが実現することになりますれば、本県としてもきわめてけっこうなことじゃないかというふうに考えておるわけであります。 次に、人事の問題でございますが、人事の君さん、私は聞いたことはないんですが、どういう意味なのかわかりませんが、これはこういう人事というのは、なかなかむずかしいものでありまして、今回は特に、たとえば突然病院局長が転出されましたので、それに基づく異動で、あけておくわけにはまいりませんので、いろいろ人事の検討が始められたわけでありますが、そういう際に、その人事というものは最後まで、ほんとうにその決定の寸前まで漏れないということが一番けっこうなことはもちろんでありますが、たとえば日赤の局長に転出されるということになりますと、まず現在おられる日赤の局長にそろそろ後進に道を譲られたらどうか、こういうことになりますと、家族その他とも御本人は相談されるわけですね。そうしてまあおまかせします、こういうことになります。そうしてこちらの人にこういう関係だから日赤のほうへ行かれるかどうか、おまかせします。こういうことにかりになります。そうすると日赤の局長というのは中央人事ですね、それで日赤のほうにお願いに行くわけです。こういう形で、ぜひとも協力をお願いしたい。それじゃ本人と会ってみましょう、こういうようないきさつがいろいろあって、その間いろいろ右往左往した、こういうふうになりますので、事前に漏れるということは防げない。しかも病院局長の異動によって、必ず部長級の人事があるということは、皆さんが感づいているものですから、特に部内だけの異動の場合はまだわかりにくいのですけれども、外部二、三カ所と連絡をとったりするような人事は漏れることはいままでもたくさんあったわけであります。そうしてそういう際に、結局出納長の場合には、議会の御了解も得なければだめなので、その前に漏れるということはちょっと困るんでありまするけれども、そういう事態になってくることも、いままでもときどきあった。今後人事の君さんじゃないけれども、十分慎重に御指摘の問題については注意してまいりたいと考えております。   〔警察本部長寺尾繁君登壇〕 ◎警察本部長(寺尾繁君) 中川議員の御質問に対して、お答え申し上げたいと思います。 1つは、新発田市長選挙における知事の地位利用ということで御質問があったわけであります。ただいま知事からも御答弁がございました。新発田の市長選は近年になく非常に激しい相互の選挙戦が展開されたということで、私どももそれだけに現地の署長に対して、厳正、公平に取り締まりをするようにということを、あらかじめ指示をしておったわけでございます。 ただそれだけの激しい選挙であっただけに、双方ともに相当激烈な言論戦が展開されたということは想像にかたくはございません。ただ先ほど議員からも、また知事さんからもお話があったわけでございますけれども、双方そういうふうな状態でありましたので、私どもとしては現在、署から何らの事実の指摘報告は受けておりませんけれども、発言の内容なり事実関係なりを具体的に検討した上でないと、何とも申し上げかねませんけれども、もしも疑わしい事実があるということであるならば、当然適切な措置をしたいということであります。 第2は、自由妨害の事件でございます。掲示板を33枚、ポスターにして57枚、これらを3カ所の場所にわたって引き抜きまして、そうして中の掲示板1枚は割られた、引き裂かれたというきわめて悪質な自由妨害事件が起こったわけであります。たまたま投票当日でしかも午前2時という早朝に届け出がございました。直ちに実況見分、その時間になし得る事情の聴取、その他捜査を開始したわけでございます。今日まで不審車両の捜査なり、あるいは疑わしいという不審者の身辺捜査、その他いろいろ捜査を進めておりますけれども、今日までのところ容疑者の確定というところまでは行っておりません。 私どもとしては、初めに申し上げましたとおり、すべての犯罪について徹底して捜査を行ない、できれば犯人の検挙に結びつけたいという気持ちは変わりはございませんけれども、ただ右目を閉じて左目をあけておるというようなことをいわれると、はなはだ心外でございます。警察は県民全体のためにやっておるわけでございまして、特定の問題について、たとえば個別訪問を左だけにやったというふうにいわれると心外である、遺憾であるということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)   〔中川三七君登壇〕 ◆中川三七君 本部長に、いまやじが入りましたように、私は、いま巷間いわれておるように、これはあげれないんじゃないか、あげれないという意味はいろいろニュアンスが含まれていると思います。しかしいずれにしても、これがどれほどの重大な犯罪かしかも私たちが念を押したわけですよね。この種の問題は初動捜査が大切なんだ、あとからわかりませんでしたといわれたんでは、それじゃ済みませんよ、たいへんしろうとで恐縮でしたけれども、その辺は念を押したわけです。いまの答弁だと、まあできるだけあげるようにします、あがらない場合もあるような印象なわけですが、それをもう一度お聞かせいただきたいと思うわけです。 それから知事、私は、地方選挙に対する介入のしかた、たとえば知事は一般の選挙民の人たちと違うわけです、立場上。たとえば一選挙民の人たちが中央直結がけしからん、あるいは中央の腐敗を取り上げておるからおれもやったんだということでは済まされない。あなたはそういう意味では権力を持っているわけですし、ある意味では利益誘導をでき得るような立場にあるわけです、行使しようと思えば。その辺をはき違えないために、私は言っているわけです。この点についてもう一度お聞かせいただきたいと思います。   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 御指摘の地方選挙に対する介入の問題ですが、これは率直に申し上げてきわめてむずかしい問題であろうと思います。これが総理が、たとえば地方選挙にも介入いたしますし、成田委員長さん、これは権力のある公務員ではありませんけれども、いわゆる政党の政治家が総理大臣として来たんじゃないんだ、総裁として来たんだ、こういうことにもなるかもしれぬ。ところが何々大臣が来たということは、即これが利益誘導になるかどうか、きわめて問題で、しかしそういう御指摘の点もありますし、私どもも率直に謙虚に検討いたしてみたいと思います。私が応援に出ちゃならぬということになると、事重大でありますが、その点今後慎重にひとつ検討してまいりたいと思います。   〔警察本部長寺尾繁君登壇〕 ◎警察本部長(寺尾繁君) 再度お答え申し上げます。 捜査が今日100%すべて全部解決できておるというのであれば100%解決いたしますと私は申し上げますけれども、そうは答えられないということでございます。 ○議長(角屋久次君) 暫時休憩いたします。  午前11時41分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時8分 開議 ○副議長(遠山作助君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行ないます。まず、渡辺善作君の発言を許します。   〔渡辺善作君登壇〕(拍手) ◆渡辺善作君 さきに通告を申し上げました内容について順次御質問申し上げたいと思います。 第1に、最近の飛弾川事件の判決に関連して、今後の対策についてお聞かせいただきたいと思います。すでにその経過については御案内のとおりだと思いますが、私なりに経過をたどってみたいと思います。 昭和43年8月17日の夜から未明にかけて、岐阜県一帯に台風7号が襲ったわけでございますが、その余波による集中豪雨は1時間に149ミリという史上第2位といわれ、当地域では55年ぶりの洪水というような状況で、常識では考えられない状況が発生し、まるでバケツで水をぶっかけられるような状況であったといわれております。このような状況の中で、大雨洪水注意報が解除になったということで、例の名古屋団地のグループが出発をしたわけでございますが、そのグループの中には773名が乗車をし、乗鞍雲上ファミリー大パーティーを求めて、観光バス15台を連ねて国道41号線の飛騨川沿いをひた走りに走っておったのが実情のようでございます。解除された大雨洪水注意報は、再び午後10時30分、大雨注意報という立場で再発され、中部地建も午後8時と午後10時30分にパトロールを実施し、小さな土砂くずれを発見し、警察署と協議をし、午後11時30分、通行どめを行なったわけでございます。観光バスの運転手も午後11時30分、旅行計画を中止しUターン。一方山、一方険峻な国道41号線を危険を感じながら運転しておったわけでございますが、たびたび遭遇する小さながけくずれのために状況判断を求めて全員が集まって協議するとき、前後でがけくずれが発生し、立ち往生という状況になったわけでございます。この状況の中で1時間後、すなわち午前2時11分、突如として山側の土砂が幅約30メートルにわたってくずれ落ち、約1万立米の土石流とともに5号車と6号車を秒速10メートルでのみ込んでしまいました。このバス2台には107名の乗客がおり、あっという間に道路下15メートルの飛騨川に転落してしまいました。飛騨川は平水の40倍の増水で、濁流うずまく魔流と化し、転落は即死の運命にありながら、奇跡的にも生存者が3名あったということでございます。 当時この史上最大の不幸な事故を、新聞はすべて悲しき天災として報道し、レジャー時代のバス運行ブームを反省したものであり、遺族の憤りをぶつけるところなし等の記事も報道されておりました。したがって、警察署も天災として扱ったから、当時この事件では刑事上の責任は何ら追及されなかったわけでございます。ところが、遺族の人々は天災としてあきらめることができず、国の道路設置管理に手落ちがあったから起きたとして国家賠償請求額訴訟に及んだわけでありますが、一審では天災4割、人災6割、そして旅行業者、運転手の過失もなしとはしない意味の判決が下ったわけであります。すなわち、国に道路管理の手落ちはあるが、土石流の発生は予測、防止できないものでないと、被害者に名を与え、国に実を与えたというべきかと判断されるような内容でありましたが、原告の中にはこの判決に向かって訴訟をめぐって意見が対立いたしましたが、子供たちが成長後自分たちの親がなぜ死んだのかを説明できなければと、事故原因をはっきりさせることが私たちを励ましてくれた人々にこたえることだと訴訟を決定し、二審にゆだねたわけであります。二審では100%人災という画期的な判決が出されたわけで、集中豪雨は通常予測できる程度のものであり、これによる土砂くずれ、土石流等の発生の危険も予測し得るものであったとし、このような危険に対し適切な管理体制がとられていないから事故が発生したもので、運行関係者には過失はなかったといわれているわけであります。 ところが、この事件発生当時、すなわち昭和43年当時の箕輪道路局長は、山間部で異常な集中豪雨が降った場合、道路での土砂くずれの危険は防止できないと談話を発表しております。また、現在県内の各所で落石注意の立て看板が目につくわけでありますが、これは個々人が注意をしながら身を守れの意味に理解されるわけで、また、当時砂防関係者は、山間部を通る道路は当然砂防工事を十分に施すべきだと言っておりましたが、現実はどうなっているでしょう。 さらに、昭和38年、高知県須崎市の国道で落石がトラックに当たり運転助手が死亡した事故で、高松高裁では昭和42年5月、道路管理者は、山地部分の地質を調査し、落石や土砂くずれに対する根本的な対策を立てた形跡がなく、道路の安全性の確保に欠けていたという判決が下されているわけであります。 このような裁判の結果について、これは単なる国道の問題として傍観すべき問題ではないと判断されるわけでありますが、建設省のある技官が私に対して、飛騨川の判決は人命尊重という根本的な立場から今回の問題を検討したのではなく、社会保障的要素が現在不備であるため、遺族の方々の心情を理解して上告を取りやめたのであって、道路管理上の責任の限界はケース・バイ・ケースで今後処置されるのであろうと語っておりました。 いずれにいたしましても、現在の世相は相手の手落ちのみを攻撃する風潮が高まりつつありますが、道路管理上の問題はこの判決をもととしてますます増加されると判断いたします。また、県内には国道中県管理分507.2キロ、県道の4,235.7キロ、総延長の管理をどう消化していこうとするのか、いろいろな意見を出されているときだけに本質的な対策が必要だと判断されるわけでありますが、私は、かかる立場から県がこれらの現実をどう評価をし対策を推進しようとしているのか、知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。 また、旧来、市町村行政は、常に国や県行政に一つの基準を前提として推進してきたことは明らかであろうと思いますし、また、いろいろな点で道路行政に強い行政指導を行なってきたことも事実であると思います。したがって、県の判決に対する評価や対策いかんでは大きな問題を今後に残すであろうと考えられますので、今後の行政指導上の方針を明らかにしていただきたいと思います。 また、現在道路賠償責任保険が民間の会社によって設立されていると聞いております。現在静岡県では、日本火災海上保険株式会社に対しキロ当たり566円の保険料で県管理分の国道と県道合わせて3,716キロメートルを220万円で、対人1名につき2,000万円、1事故2億円、対物500万円で加入していると聞いております。これらは最近の人命尊重の要素がますます増大している今日、住民の道路管理者に対し、道路施設の安全性の確立と強い責任体制を求めておるのが実態であろうと思います。しかし、現実の自治体の財政は非常に困窮しているわけでございまして、不幸な事故に対して一つの対策ではなかろうかと思いますが、これらの問題に対して知事のお考えを承りたいと思います。 以上、飛騨川の判決から問題点を二、三質問申し上げましたが、最近の社会の変転は、自己の権利を主張する風潮が高まりつつあることの原因はいろいろの立場に立って考えられると思いますけれども、国民の行政に対する評価や理解が変わりつつあることは事実であろうと思います。私は、いま積雪期を迎えて感ずることは、豪雪地帯に残る地域社会の高い連帯性を痛感させられます。たとえば、流雪溝の場合にいたしましても、社会が共同で除雪に当たるというこの精神、すなわち自治体の本質はこのような高い地域社会の連帯性が絶対条件ではなかろうかと思います。行政が積極的に住民とコミュニケーションを高め、住民合意の努力がいまこそ必要ではないでしょうか。県行政はこのような高い地域社会の連帯の中にあってこそ、初めて住民の了解を得る行政の処理ができるのではなかろうかと考えます。 2番目に、地方バス路線運行維持対策要綱に関連して、過疎対策上からたいへん重要な問題だと思いますので、二、三今後の考え方をお伺いいたします。 地方バス路線運行維持対策要綱の目的には、「路線バスが住民にとって必要不可欠でありながら、過疎現象等による輸送人員の減少のため、路線バス事業の全部又は一部の遂行が困難となっている現状にかんがみ、昭和47年度以降5か年にわたり地方におけるバス路線の運行を維持するための対策を講ずることにより当該バス事業の自立をはかり、もって地域住民の福祉を確保することとする。」と述べておりますが、現実はどうでしょうか。年々進む過疎地帯は、1戸1戸下山し、都市へと移動し、残るは老人や児童となりつつあります。このままでは子供たちの唯一の通学手段であり、かつ過疎地帯の唯一の交通機関であるバスの運行回数も減少する結果となり、ますます住みにくくなるというのが現実であります。しかし、幸いにして昭和47年度から実施になりました地方バス路線運行維持対策要綱によって、一応の救済処置が設立されたわけでありますが、その実態はどうなっているのでしょうか。 全国的なその実績を展望してみますると、昭和47年、生活路線維持関係では1,328本の系統で補助金が2億2,300万円余でありましたが、昭和48年には1,418本の系統で金額では8億3,300万円強となっております。金額では3.7倍となっており、また、県内では47年度は42本の系統で金額は490万円余であったものが、昭和48年度では系統本数は38本に減少しましたが、金額では2,182万1,000円となり、4.8倍、補助金8億3,300万円余りとなっており、補助金が3.7倍となっており、過疎が年々進行していることを示しております。 以上が生活路線維持補助金だけでありますが、これに加えて車両購入費補助や、廃止路線代替バス車両購入費補助、さらに離島辺地路線維持等を含めて見ますと、全国的には昭和47年度4億7,300万円余りでしたが、昭和48年には12億2,800万円と約3倍に伸びておりますが、政府は49年度分として21億9,400万円程度しか予算化されておらないと聞いております。しかし、私が調べたところでは、各県のバス会社が地方バス路線運行維持対策要綱に基づく補助金申請を、山形県では2億円を見込み、秋田県では2億2,000万円を見込んでおり、宮城県では3億円を、さらに岩手県では4億8,000万円を見込み、長野県でも2億3,000万円を見込んでおる等、各県の前年度に比べて7億2,700万円に対し本年度は14億3,000万円と倍額に増大しているのが現実であります。長野県では、12月議会に全額予算化を計上してあると聞いております。 本県の場合には、さきに申し上げたとおり前年度は1社2,180万円でありましたが、本年度は人件費の増大や燃料費及び諸資材等の高騰から3社で5億円程度を見込まれておると聞いております。しかし、この処置が不可能の場合、発生するものと予想されるものはサービスの低下であり、運転回数の減少にあわせて、財政的にしわ寄せが利用者や集落へ持ち込まれ、過疎地域がますます冷え切った状態になると思うわけで、ぜひとも完全に要綱に基づく処置を講ずべきであると思いますが、その点の考え方をお伺いいたしたいと思います。 また、今後の経済的展望を考えるとき、インフレ的要素が鎮静することが見込まれない現在、地方バス路線運行維持対策要綱の目的に沿って多角的に対策を考える必要があるのではなかろうかと思います。その一つとして、自動車税は乗車定員で付加されているわけでありますが、これらに対し過疎地域の自動車に減免の措置を考えるとか、また、補助金交付系統の路線には免税にする方途を講ずるとか、さらに重量税に対しても同様な立場で総合的立場で地方バス路線運行維持対策要綱の精神を生かすための働きかけを政府にすべきではなかろうかと思いますが、知事のお考えを承りたいと思います。 さらに、本年度のように急激な経済変化の激しい年度には、その企業の実態を調査の上で過疎対策面で特別融資の方途を講じ、利子補給等の方途を開くとか、多角的な立場で対策を考えるべきであろうかと思いますが、これに対してもお考えをお伺いいたしたいと思います。 3番目として、統合学校の通学費問題についてお伺いをいたします。 過去、過疎地帯における児童の減少に伴う複式学級あるいは教育内容の充実、適正学級と適正校のあり方等からいろいろな問題が提起され、統合が促進されました。しかし、当時あまり問題にされなかった通学費の生活費におけるウエートが、最近家庭内において非常に大きな問題として提起されております。 ところで私は、1つの学校を一応調査をしてみました。昭和44年、新井市南中学校のバス通学者は、6キロメートル以上53名でありました。統合後5カ年間は国庫の補助が認められ、通学費の2分の1を補助するようになっておりますが、最高限度額では1人当たり7,280円とされております。よって、53名の合計で60万9,840円の支出に対して国庫補助が19万2,920円で、残りは市及び父兄負担となり41万6,920円であり、1人当たり1万1,680円で補助のワク内に入っておりましたが、昭和46年には6キロ以上の通学者は101名で、総額238万8,380円で国庫補助が68万5,790円、市及び父兄負担が170万2,590円で、1人当たり最高3万1,990円で2分の1の補助で、1人当たりの国庫補助では7,280円ですから、残りの2分の1を市負担としても、1万7,430円もオーバーし、父兄が負担しなければならないたいへんな額になるわけでございます。しかし、47年度には国庫補助の1人当たりの補助額が7,280円から1万3,580円に引き上げられましたが、昭和48年には6キロ以上の人が、1人当たりのバス通学費は最高の生徒で3万7,890円、国庫補助額1万3,580円ですので、残りの2分の1市費負担としても、父兄負担は1万700円と増大し、さらに通学費が49年度値上げしたわけですが、国庫補助はそのままであります。 このような状態が続くことは、いまの経済情勢からして当然考えられるわけで、過疎地域ではますます通学費の負担が増大するわけで、さきに述べた地方バス路線運行維持対策要綱と同様な処置が必要ではなかろうかと考えられる次第でありますが、この点義務教育の立場にある児童、生徒に対して当然配慮すべきであると思いますが、お考えをお伺いいたしたいと思います。 また、統合学校に対して5カ年に限り国庫補助が認められている点を考えるとき、このようなインフレ下の経済情勢下では特別な処置と配慮が必要であると思いますが、この点積極的に政府に働きかけを行なうべきであると思いますが、お考えを承りたいと思います。 以上で私の質問を終わりますが、中央における政治の混乱は地方自治に対しても不安として波及せんとしております。特に師走とともにインフレ、不況にあわせて精神面の焦燥的要素が加わり、今日、みずからを律して県民一人一人に具体的な事実を示してこそ、県民と行政、政治が一体となるものと確信をいたします。 以上、関係者各位の積極的な処置を強く要望して私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 渡辺議員の質問にお答えいたします。 飛騨川事故の判決は、確かに道路管理者の道路交通の安全確保の責任を厳格に示されたものと考えております。お話のように人間尊重のあらわれと解しておる次第であります。県といたしましては、飛騨川事故の後、県管理の国県道の総点検を実施いたしました。特に、山間地の道路の転落事故の個所等について、現在鋭意調査中でございます。特に、これから心配されます異常気象時におきます危険個所については、特段の注意をいたしておりまして、道路パトロールの強化をして危険個所の早期発見につとめるように努力をいたしております。また、市町村道の管理につきましても、市町村とタイアップをいたしましてパトロールの強化をはかっております。特に、今後降雪期を控えておりますので、厳重な注意をいたしたいと考えております。 しかし、いかに対策をいたしましても不測の事態は絶対にないとは申し上げられませんので、御指摘のように国におきましても道路管理者の損害賠償責任保険について現在検討中であります。県といたしましても、現在いろいろの点を調査研究いたしておりまして、国や他県の状況をもとに考慮して、おそらく実施に踏み切るようになると考えております。 次に、バスの問題でありますが、49年度におけるバス事業者の補助申請額は、2億円と見込まれております。県の維持対策は、経営困難となっておりますバス事業者の不採算路線に対して、国の補助制度に沿いました補助措置を講ずることにいたしております。運行維持をはかることにしておりますが、県に対します国の財源措置に非常に大きく依存せざるを得ない。また、国の県に対する補助額の内示が明年1月末ということにきまっております。いろいろな情勢から当面12月県会には5,000万円を一応計上しておはかりしておりますが、国の内示額を見た上で、さらに2月県議会におきまして予算更正を検討してまいる所存でございます。 それに関連いたしまして、自動車取得税の問題、まあこれらの税金につきましてはいろいろ問題もありますが、現在のところ減税する考えはございません。なお、自動車重量税は国税でございますのでお答えができませんが、また特別融資や利子補給につきましては、現在バス事業者からの要望を受けておりませんので、現在は考えておりません。なお、国におきましては、昭和50年度に現行補助制度を拡大する方向で検討が進められておりますので、国の制度改正及びバス事業の推移に応じまして万全を期したいと考えております。 さらに、過疎バス問題は、国県の補助による解決にはやはり限界がありますので、個々のバス事業者の企業努力についても大いに期待してまいりたいと考えております。 それから、遠距離児童の問題につきましては、教育長にお答えをお願いいたします。   〔教育長矢野達夫君登壇〕 ◎教育長(矢野達夫君) 遠距離児童、生徒の通学費につきましては、小学校4キロ以上、中学校につきましては6キロ以上の市町村に対しまして国庫補助2分の1という制度が行なわれております。これは48年度から据え置きになっておりますが、明年度いわゆる50年度予算で単価アップの要求が文部省から出されております。したがいまして、ある程度のアップが期待されるわけでございます。 それから、御質問にございました国庫補助制度の5カ年を限度としているという問題につきましては、ただいまの制度上はそのようなことになっております。これは制度といたしまして財政需要額の算定の基準の中に、一応交付税の基準の中に算定されている制度と、それから国庫補助制度という2つの面から市町村に対する運営が行なわれているわけでございますが、そういうことを背景にして補助制度を5カ年に限っているという考え方に基づいているわけでございます。ただし、ただいまのようないろいろと物価高騰の中におきまして、なかなか追っつかないような事情がたくさん出始めてまいっております。国に対しましても、この年限の問題あるいは単価アップの問題につきまして、さらに強く要望し増額をはかっていくように努力をしてまいりたいと思います。 ○副議長(遠山作助君) 次に、齋藤勲君の発言を許します。   〔齋藤勲君登壇〕(拍手) ◆齋藤勲君 私は、まず県政運営の基本問題として、田中金脈と県政とのかかわりについて質問をいたしたいと思います。 御案内のとおり、田中総理は、11月26日、辞職せざるを得なくなりました。これは、インフレ政策への国民の責任追及もさることながら、田中金権政治への批判が直接の契機となったことは間違いのないところだと思います。そして、この田中金脈は、柏崎の原発用地、長岡の河川敷、鳥屋野潟問題と県内各地に疑惑の後遺症が残り、全国民的レベルでその解明が急がれているのはもちろん、県内出身の総理の問題として県政担当の責任ある知事として、これを謙虚に反省すべきときだと思うのであります。 しかるに知事は、新聞談話において町の声に反し、むしろ田中総理の恩恵を評価し、退陣を惜しむがごとき発言をされているのであります。町の声として、田中金脈の県内版として幾つかあるのではないかという疑惑が聞かれる今日、知事は、金脈政治を断固排斥すべきだという知事の今後の決意をお聞きしたいのであります。 次に、三木新内閣が登場いたしましても、依然として公共料金をはじめとする政策インフレの波はおさまらず、加えて不況下の物価上昇という、いわゆるスタグフレーションのきわめてきびしい経済環境が改善される見通しはありません。この中で、来年度政府予算案は本年同様総需要抑制という名の地方財政への圧迫が確実に予想され、これがわが党の年来の主張である福祉優先という基本政策に大きな抑圧にならないかをおそれるのであります。 知事は、福祉優先、人間優先の立場から、来年度予算についていかなる観点から取り組む所存であるかをまずお伺いしたいのであります。 次に、現在一部の業種を除いてますます深刻の度を深めている不況問題に関連し、主として金融及び雇用対策について見解をただしたいと思います。 自民党政府の中小企業見殺しの総需要抑制策の長期化で、多くの業者は売り上げの落ち込み、受注の減り、生産活動の停滞など、資金事情が一段と窮迫し倒産も急増して、戦後最高を記録いたしております。けさのテレビにもございましたように、11月の負債額1,000万円以上の県内企業倒産状況は、東京商工リサーチの調査で、倒産28件、負債総額43億9,800万円、前年同月比で件数86.7%増、負債額はなんと47.5%の大幅増となっているのであります。 つなぎ資金確保など資金需要は逼迫しているにもかかわらず、引き締めを続ける銀行などの金融機関の窓口から中小企業、とりわけ零細な業者が締め出され、塗炭の苦しみを味わっているのであります。繊維、金属産地のようなまとまった産地を形成していない村上などの中小業者にとりましても、ごたぶんに漏れず年の瀬の不況風は一段と身にこたえています。それでなくとも村上市、岩船郡内の金融機関は、常日ごろ後進性が強く、あまり豊かでもない郡市の中小業者や勤労市民の金をかき集めて、他の地域へさらっていってしまっているのであります。 たとえば各金融機関の預貸率は、第四銀行村上支店43.75%、同岩船支店38.88%、北越銀行村上支店52.01%、大光相互銀行58.24%、新潟相互銀行は何と34.46%、そして地元の村上信用金庫本店がさすがに84.23%であります。さて、代理貸しを含まない銀行プロパーの全体としての預貸率を見ますと、昭和48年11月の預金高の対前年同月比の伸び率12.8%に対し、本年11月の伸びは16.7%であるにもかかわらず、貸し付け金のほうは48年11月の対前年同月比23.38%に対し、ことしはわずか13.8%の伸びにしかすぎません。こう見ますと、地元の信用金庫を除いてはどの銀行もこの地域のおくれを取り戻し、弱小な地元産業を育成しようという気が全く見られず、むしろいかに低いところから高いところへ土盛りをするかというような役割りを果たしていることがうかがい知れるのであります。地域格差を是正しようとするのでなく、格差をさらに大きく拡大しているのが今日の銀行の姿であります。ちなみに労働金庫の場合はオーバーローンで預貸率129%と地域勤労者の福祉生活の向上に意を用い、格差の是正に大きく貢献しているのであります。 ともあれ、ただでさえこのような銀行の融資姿勢でありますから、今回の不況と引き締めでますます痛めつけられている企業者の県不況対策特別資金制度に寄せる期待は非常に大きかったわけであります。ところがいざ借りる段になりますと、最近3カ月間の売り上げ額が前年同月比10%以上の落ち込みで、経営が不安定な業者という条件がひっかかります。実質的には売り上げも落ち、経営も苦しいのですが、インフレのため名目的金額そのものは10%まで落ち込んでいない場合も多いのであります。またワクの割り当てそのものが少なく、たとえば村上信用金庫などは3,000万円の割り当てですから、貸し付け限度額一ぱいの500万円借りる者が6人おればそれでおしまいであります。 大体融資規模は50億円であっても、県の預託は16億7,000万円で、金融機関が3倍融資するのでありますから、どうしても銀行ベースの貸し付けにならざるを得ません。当該銀行が本店の段階でそれぞれの方針と判断によって、各支店にワクを割り当てますから、必ずしもほんとうに融資を必要とするところに行くとは限りません。むしろ村上のような地域は、日ごろの銀行の考え方が考え方だけに、当然ワクは狭まってきます。そんなことで、せっかくの制度も十分に生かされていないこうした実情について、執行部はどう考えるのか、お尋ねいたします。 銀行プロパーの金も借りられない、また制度資金もむずかしいということで、いわゆる庶民金融とかあるいは高利貸しといった貸し金業者を利用する中小の商店や企業者がふえています。知事に届け出ているものだけでも貸し金業者は、村上市に36、岩船郡に12ありますが、これはいずれも繁盛いたしております。県経営指導課の調べでは、県内の貸し金業者は9月末現在で1,406、昨年同期の1,215に比べ、1年間で個人153、法人39もふえ、15%の伸びになっています。最近では、毎月15以上の業者が新たに営業をし、ますますふえる一方であります。ましてや届け出もしていない、全くのやみ金融業者も少なくありません。まさに吹き荒れる不況風に資金繰りに困った善良な事業主が、背に腹はかえられず、みすみす高利貸しのえじきになり、果ては師走の路頭に迷わねばならないという悲惨な状況が、年末が近づくとともにここかしこに見られるようになるであろうことを、私は心から憂えるものであります。 知事は、すみやかに不況対策制度資金のワクを拡大し、困っているより多くの人々に使えるよう配慮するとともに、各銀行に対し協調融資の状況を、どの地域のどの業種に幾ら貸し出しているのか明らかにさせ、かつまた本制度の趣旨をさらに県民にPRし、周知徹底する必要があると思いますが、いかがお考えですか。 次に、近代化資金、高度化資金などすでに借りている政府系金融機関からの資金の償還猶予についての働きかけ、長期減産体制に耐えるため長期無利子の減産資金特別融資制度の創設、県信用保証協会保証料の低減措置とワクの拡大、金融担保物件の評価基準の見直し等々を急いで進める意思がおありかどうかをお聞きをいたしたいと思うのであります。 さらにはまた、私の調査では、村上市、岩船郡の農協の預金と貸し付け金は、ほぼ郡市の金融機関預貸額と匹敵しますが、この比較的余裕のある農協資金を今度の不況対策に活用させてもらうことができないものかどうか、検討と農協に対する働きかけをすべきであると考えますが、知事並びに商工労働部長の見解を承りたいのであります。 次に、雇用安定対策についてお尋ねをいたします。 いま全国的に不況を理由とした企業の大量解雇や工場閉鎖が出ておりますが、本県においても、南魚沼の三共化成塩沢工場をはじめ、六日町の松山電子会社、中頚城吉川町の吉川新光電気、そしてわが県北は、荒川町と村上市にある理研パーツ、村上市の羽越電子、理光電機、星電気、そして前田製管、神林村では三和電気というように枚挙にいとまがありません。県職業安定課の調べによると、ことし4月から11月までの8カ月間の県内における解雇者5人以上の件数は213件、解雇人員は4,273人にものぼっています。そのうちの大半は農村の低賃金労働力をねらって進出してきた、いわゆる農村工場であります。進出企業は不況を口実に次々と人員整理や工場閉鎖をしていますが、もうけるだけもうけ、かせげるだけかせぎ、都合が悪くなると首を切るという企業エゴを丸出しにしています。いなそれどころか、むしろ積極的に、たとえば年をとった農家の主婦などをねらい撃ちにこの際とばかり便乗首切りをし合理化を推し進めているのであります。被害者である地元の純朴な農民たちは、権利意識も弱く、労働組合もなかったりして、悪徳企業の犠牲になっています。 さすが労働省すらも、たまりかねておくればせながら、不況、景気停滞が原因でない首切りといわざるを得なくなっています。 企業進出にはいろいろのケースがありますが、わけても問題なのは、自民党の新全国総合開発計画や列島改造論の具体的あらわれで、農工両全を旗じるしに農村工業導入法に基づき県が市町村を指導し導入した農村工業であります。不動産取得税、固定資産税の軽減、農地転用の便宜、減価償却の特典、農林中金などの特別貸し付け、道路、工業用水、果ては職業紹介等々、あらゆる面で至れり尽くせりの恩典を与えてきたのであります。このことによって、たとえば佐渡の新穂などに見られるように、大事な農業のにない手となる後継者すら激減をし、農村を荒廃させたり、弱電工場で働く農村婦人が、シンナー、ボンドなど有機溶剤中毒による貧血症など健康が著しくそこなわれてもいます。 吉川新光電気、畑野町の信和工業、金井町の三友製作所など一応受注減等を口実にしていますが、いずれも進出してやった式の意識が企業に強く、社会的責任感がないといわねばなりません。こうした企業を導入した県の責任は実に重大であり、この深刻な失業対策をどうするのか、伺いたいのであります。また農工法以前にも昭和42年11月進出の三共化成塩沢工場のように市町村の誘致条例によって進出してきた企業も多いのでありますが、当該自治体の責任はもとより、条例をつくるにあたって指導、助言してきた県の責任もまた小さくありません。農村への工業導入が何をもたらしたか、この際真剣な反省と根本的な検討をすべきであることを強く主張いたします。 次に、行政の厳正な執行と市町村に対する指導の強化についてただしたいと思います。 岩船郡荒川町の金子忠治町長は、現在最高裁で審理中の8・28水害における農地の災害復旧工事に関連した汚職事件以来、あまねく天下に知れわたった人物であります。この金子町長は、その後も同町町営住宅の宅地造成に関する問題やみずからが組合長である農事組合法人荒川牧場にまつわる問題等々で、常に同町議会でもその疑惑についてきびしく追及されるなど、政治姿勢についてとかくの黒い霧が取りざたされてきたところであります。荒川建設あるいは荒川牧場等々いわゆる金子ファミリーが荒川町政と密接に癒着しているということは、あまりにも公然の秘密であります。 しかるにまたまた45年度以来今年度まで、米の生産調整に関連した稲作転換奨励補助金について、転作もしていない雑種地や――知事のお手元に写真を提出しておきましたが、雑種地や砂利を採掘したあとの池あるいは面積の水増し、奨励金の二重取りなど約1.6ヘクタール以上、60万円以上の奨励金――これは今後の調査によってはさらにふえる可能性があります。――等々奨励金を不正に受給していました。目下、下越農政事務所や県警本部もこの事件について調査中のようでありますが、この際徹底的に実態を明らかにすべきであります。 大体県もいまごろになってあわてて調査するなどということは、行政の怠慢もはなはだしく、もってのほかであります。なるほど確認事務については、県は荒川町長との間に委託契約書をかわしていますが、その中にも第6条に、県は「町長金子忠治から委託事業実績報告書の提出を受けたときは、遅滞なく当該委託事業が契約の内容に適合するものであるかどうかを調査し」云々とあります。県や警察のこれまでの数々の事件に対するなまぬるい態度が荒川町政の紊乱を招いてきているといえましょう。金子町長は、みずから田中角栄前総理の子分だ、秋には新米がとれるとイの一番にトラックに積み込んで目白の私邸に運んでいるのだと言ってはいばっています。 今後知事は、奨励補助金を返還させることはもとより、でたらめな事務をやった町役場、農業共済組合からも事務費の返還を求め、二度と再びこのような不祥事のないよう指導すべきであります。特に要注意市町村には十分注意をして行政の厳正な執行に当たらなければならないと思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。 第3点目として、食肉の処理、流通対策と検査体制について伺います。 本県の豚飼養頭数は年々ふえ続け、昭和48年には25万7,000頭になり、47年の肉豚生産頭数は38万頭をこえています。経営形態も大きく変わり、農家の副業的養豚であったのが、近年は専業的企業養豚がふえ、飼養戸数は大幅な減少を見ています。頭数分布は最も多い下越が全体の約半数の49%で、それも産地が次第に県北に移動しつつあります。本県では昭和43年4月、屠畜場整備3カ年計画を策定し強力に実施してきた結果、現在では整備計画前の31施設が、特に整備を要しない5、新築6、廃止25、未整備、これは村上であります、1カ所の計12施設となっています。村上の場合、計画では廃止し新発田の下越広域食肉センターに統合の予定でしたが、その後産地の移動、処理頭数の増大などによって、村上、岩船郡、年間約6,000頭の豚を新発田の食肉センターに全部その処理をゆだねることはでき得なくなりました。近い将来、新発田においても屠場の拡張計画がありますが、これとて今後ますますふえるであろう処理要請にこたえていくのがむずかしいのではないかと思うのであります。 そこで、私は、これまで県が進めてきた屠畜場の廃止計画ははたして適当であったかどうか。また規模、施設運営等全般にわたって根本的に洗い直してみる必要があると考えます。輸送効率が悪い肉豚の生体輸送に対して、効率がよく輸送コストも安くできる産地つぶしの枝肉輸送による冷屠体取引がこれからはふえていくでありましょう。とすれば新たな産地食肉センターも必要になるはずであります。しかし現在は、どこの屠畜場でも人件費のアップや公害対策の設備投資などがかさみ、経営状態は悪化し、屠場使用料へのやりくりに四苦八苦しております。現状では1日500頭を処理できる規模の屠場でも、ようやく採算がとれるかどうかというところでありましょう。屠場の建設については一広域圏にまかすべきではなく、その屠場の持つ流通拠点的性格からして国、県の大幅な補助こそ実現さすべきであります。 また屠場使用料は、公共料金的性質もありますが、豚1頭の解体に新発田730円、新津850円といずれも男子の理髪代よりも安く、冷蔵庫1日の使用料が100円とか50円というのは、まことにもって常識はずれといわなければなりません。知事は、早急に適正な料金に改定し、もって屠場経営の改善に資すべきであると考えますが、いかがですか。 次に、食肉の流通改善でありますが、今年度県の重点施策の一つとして、食肉流通機構と乳肉検査体制の強化について提案され、目下流通センターについては長岡市に建設中でありますが、最も大きな産地である下越地方にも流通ストック基地等を早急につくるよう作業を進める必要があります。先般、新発田市にある家畜商兼食肉流通販売業者のN精肉店が、あわや倒産しそうになり、北蒲、岩船の21名以上にものぼる肥育豚農家、繁殖豚グループの農家などが一大連鎖倒産しようとし、大いにあわてた事例がありました。この業者は年商2億円余りの県下でも一、二位を争うものでありますが、これからは生産農民を保護し、流通の安定をはかる上でも、こうした業者等に対する何らかの指導を考えていかなければならないでありましょう。 次いで検査体制のより一そうの強化でありますが、私は先般実際に屠畜場における検査員の作業現場を視察して、認識不足ではありましたが、同じ県職員でもこういうたいへんな仕事に携わっている人もいるのかと驚き入った次第であります。からだじゅう血や水を浴び、どんどんと流れ作業で出てくる豚の内臓を両手の刃物で処理していく作業は実に激しい労働であります。厚生省の示した基準では、豚の場合、検査員1人1日の検査頭数は30頭以内で、1頭当たりの所要時間は15分間とされています。ところが本県の場合は、現在の平均1人当たり52ないし3頭で、来年あたりはおそらく年間処理頭数が40万頭を上回ることになると、ピーク時には1人当たり80から90頭の検査をしなければならなくなるでありましょう。切迫屠殺と称し緊急を要する解体精密検査には、最低3時間はかかることなども考え、ピークに対処できる人数と屠畜場数に見合った人数と余裕を持った検査員の配置をどうしても確保しなければなりません。来年の獣医師採用予定は、衛生部、農林部合わせて4名との予定だそうでありますが、これでは絶対数が不足であります。 豚1頭にかかる検査料の原価は約300円ですが、現在徴収しているのは半分の160円で、検査員の人件費等の年間合計額1億4,500万円に対し、検査料の総収入は4,800万円と約3分の1にしか満たないのであります。検査料は倍額にし必要人員は補充すべきであります。人畜共通病の感染、特にトキソプラズマなど常に危険にさらされている検査員はきわめて危険な職種であり、わずか月額6,000円の特殊勤務手当などを廃し、他県並みの基準内賃金10%の調整額に改むべきでありましょう。 また検査支所の庁舎の建築と検査施設の整備等々、体制強化策をはかることも必要であります。ともあれ食肉行政についてはプロジェクトチームを編成し、衛生、農林をはじめ広く各部の英知を結集して当たるべきであると考えますが、知事の御所見を承りたいのであります。 第4点は、三面川の問題でありますが、時間の都合もありますので、一言だけ質問をいたしたいと思いますが、三面川は、本県はもとよりわが国でも残された数少ない清流の一つであります。下流の河口部分に至るまで川底は砂れきになっており、他の河川のようにどろではありません。この川の美しい自然をいつまでも保護し、遠く村上藩が種川をつくり、サケの人工ふ化の偉業をなし遂げた伝統をいまに引き継ぐサケ漁業の振興をはかっていかなければならないのであります。一方種川は三面、猿田の両発電所をかかえ、県企業局のいわばドル箱でもあります。そしてこのダムのため発電優先の操作放流あるいは同系の支川に比べ水温が2度も低いという内水面漁業にとって好ましくない現象が起こっています。 その上、治水のため、そして水力の見直しということで、いま調査中の奥三面揚水式発電ダムと支流高根川のダム建設計画があります。さらにまた、現在建設中の朝日スーパー林道の開設と付随する枝林道の建設、そのことは末沢川周辺に見られるような林野庁の営利本位の皆伐政策による自然林の荒廃を必然的に招き、かけがえのないこの川の環境をとめどなく破壊しているのであります。 県は、枝林道の開発や森林伐栽の規制、ダム構造の改善、流域下水道の整備、河川改修をはかるとともに、サケの人工ふ化のための一括採捕施設の設置について総合的かつ重点的な施策を講ずべきであると考えますが、知事の御見解をお尋ねいたしたいと思います。 たいへん時間を超過いたしまして、恐縮でございましたが、以上をもちまして、私の一般質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 齋藤議員の御質問にお答えいたします。 まず、金脈政治との関連の御質問でございましたが、私は率直に田中総理が辞任声明をされた際に、現実に新潟県は関屋分水その他関越高速道路、新幹線、只見中線あるいはその他たくさんのことで、少なくとも田中総理というより田中幹事長、田中大蔵大臣時代に非常に県がお世話になったことだけは忘れたくない、こういうことでありまして、感謝の気持ちをあらわしたわけであります。それが即金脈政治との関連について私は触れたわけではございません。これは御本人が的確な説明を申すというふうに言っておられますので、それを期待しておるものであります。 ただ、若干私から申し上げたいのは、文藝春秋に載っておる記事そのものは過去十数回、国会で全部論議されておるものでありまして、それ以外のものはないのであります。そういう意味でまことに残念と申し上げた次第であります。 また、三木総理がなってもおそらく変わりあるまい、このスタグフレーションの脱却はできまいというようなお話でございましたけれども、逆に言いますと、現在の野党がやったら、なおさら大混乱になるだろうとおそれておる人もたくさんおるのであります。しかし、自民党はおそらく今後全責任をもって事の重大性に対処してまいることを、私としては期待いたしておるわけであります。 また、来年度の予算につきまして、福祉優先、どのように対処するかというふうなお話でございましたが、私といたしましては、いまだかつてない財源難が50年度に到来するわけでありますので、予算編成はきわめて苦しい状態であることは覚悟いたしておりますけれども、その中におきましても、福祉優先の予算編成に徹していきたいというふうに考えております。 次に、中小企業対策でございますが、市中金融機関及び政府系の金融3機関、それを県として補完をしていろいろの対策を講じておるわけであります。御指摘のように、あまりにも銀行ペースになっておるのではないかというような御指摘も、以前からときどき受けております。しかし、銀行ペースを完全に除外する金融政策というものも実際問題としてとれないのでありまして、その辺を両々相まって適時適切なる金融をやっていただくように、取り扱い金融機関によく相談をして指導してまいりたいと思っております。 農協資金の活用につきましても、十分検討してまいりたいと思っております。詳しい点については商労部長から御答弁をお願いいたします。 また、最近の失業状態、雇用失業情勢は次第に悪化しておることは事実であります。企業整備あるいは一時帰休等を実施する事業場が逐次増加しております。このような情勢に、雇用失業情勢の早期かつ的確な把握につとめることがまず第一でありまして、職業安定所に設置しております特別職業相談室の活用等によって早期情報の把握とともに、いろいろ善処を考えておる次第であります。これにつきましても、細部の方法につきましては、商労部長から詳細な説明をお願いいたします。 また、県内に進出いたしました企業で労働者を解雇いたしましたのは 本年4月から11月までで59件でございます。離職者数は1,244人となっております。業種別に見ますと その8割強が電気産業であります。ただその中で御指摘の農村地域工業導入促進法に基づきまして農村工業として入ってきた企業の中で、企業整理による離職者が発生した件数は4件でございまして、比較的全体としては少ないのです。離職者数は104名となっております。したがいまして、私どもは農村工業導入法によって農村工業というものを立地させなければいけないという政策で始めたのでありますが、たまたまこの狂乱物価の時期に一致いたしまして、このようなことになっておるわけですが、責任は十分感じておりますが、農村工業導入ということ自体はきわめて重要という考えで、今後も慎重な政策をとってまいりたいと考えております。 また、工場誘致をした工場が破産ないし企業整備をやっておるということでありますが、これは一般工場と同様にきわめて今回の総需要抑制せざるを得なかったこの経済情勢の反動でございまして、今後とも誘致工場については事前によく選択を誤らないように、十分に行政指導の徹底をはかってまいりたいと考えておる次第であります。 次に、米の生産調整、稲作転換事業の実施の問題、不正があるというような御指摘がございました。私どもは国の定めました要綱、要領に基づいて、市町村長と委託契約を締結してやっているわけでありまして、相互信頼の上に立って市町村が実施しているものでございます。このたびの新聞報道につきまして、現在県としても調査をいたしておりますが、御指摘のように厳正な行政指導をやることはもちろんでございます。さらに詳細な面につきましては、農林部長から補足をしていただきます。 その次に、三面の問題でございます。確かにダムの建設、特にあれは下から水が出る関係で、非常に冷水の悪影響があることは御指摘のとおりでございまして、そういう面については今後十分な配慮をしてまいりたい。 また、奥只見のダムにつきましては、やはり国全体として、将来エネルギー確保が最も重要でありますし、水力発電につきましては、公害というものが比較的少ないのでありますので、そういう面に留意しながら開発をし、また内水面漁業、特に御指摘のような伝統ある三面の内水面漁業については十分配慮してまいりたいと考えております。 屠場の問題でございます。現在、県内には11カ所の屠場がございます。いろいろの事情でそれぞれ建設をいたしてまいりましたので、その設置個所について若干のアンバランスがあることもいたし方がないことでありますし、また設置後における処理頭数が非常に大きな変化を来たしておるので、現在のアンバランスの状態になっておるものであります。また、都市化による公害問題の発生も心配されることでありますので、これらの整備拡充につきましては今後十分検討してまいりたいと考えております。 また、流通対策につきましては、県卸売市場審議会から答申を受けております。下越、中越、上越の3地区に食肉卸売市場を併設した屠場を整備して食肉流通施設の育成につとめ、食肉流通の合理化、近代化を進める所存でございます。また、すでに中越基幹食肉センターを長岡市に設置することが決定いたしておりますが、その中には県内で初めての食肉卸売市場を設置する考え方で事業をとり進めておるのであります。 また、これらに関連いたしまして、公共料金ともいうべき検査手数料が非常に安過ぎる、したがって、労働過重にもつながり、またいろいろの施設拡充にも不適であるというような御指摘のようでございましたが、私どもはこの検査手数料につきましても、やはり公共料金ということで、値上げをすることに若干慎重過ぎたという面もあるようにも考えますが、御指摘のように一挙に倍額にしろというようなお話は初めてお伺いいたしましたが、十分検討いたしまして、善処いたしたいと考えます。 また、食肉検査体制につきまして、いろいろ御指摘がございました。これらについても、それらいま申し上げました点と十分勘案しつつ、人員の再配置等を検討してまいりたいと考えております。詳細については衛生部長に補足をさせていただきます。 以上で答弁を終わらせていただきます。   〔商工労働部長加藤孝君登壇〕 ◎商工労働部長(加藤孝君) 齋藤議員の御質問に、補足いたしましてお答えを申し上げます。 御指摘のように不況が浸透いたします中で、特に年末を控えまして、金融事情はきわめて逼迫をいたしてきております。そのため国におきましては、さきに政府系3機関の下期融資額を7,000億円追加をいたしまして、特に10月―12月期の融資額は9,200億円ということでございまして、昨年同期の7,400億円に対しまして124%増ということで、大幅に国のほうも年末融資については配慮をしておるところでございます。また、市中金融機関も中小企業金融に重点を置きまして、中小企業の資金需要に対応していくという姿勢をとっておるところでございます。 県といたしましては、現在の資金需要につきましての一応の見通しを立てまして、現在市中銀行及び政府系の3公庫合計いたしまして約600億円、対前年25%増の年末融資の目標額を設定いたしまして、関係金融機関に対しまして、いま強く協力の要請をしておる段階でございます。 県の不況対策特別資金制度につきましては、これはいま申し上げましたような国の融資制度、あるいは市中金融につきましての融資を補完するためのものでございまして、特に不況によって著しく業況が低下して経営が不安となっている、そういう中小企業のみについて特別に措置をしようというものでございまして、具体的には最近3カ月間の売り上げ額が対前年同期10%以上落ちておるということを、一応著しく業況が低下しておるということで措置をいたしておるわけでございます。この制度の運営にあたりましては、あるいはこの制度の趣旨の徹底をはかることにつきまして、取り扱い金融機関に強くその辺の要請をしておるところでございます。 また、不況の影響を受ける度合いの最も大きい小企業者に関しましては、金融機関直接ということではなくて、商工会議所及び商工会を窓口といたしまして、経営指導面も加えて実施をしておるところでございまして、いわゆる金融機関による選別融資というような要素が極力入りにくいような形で、その辺について配慮をしておるところでございます。 なお、県といたしましても、限られた財源の中での特別措置でございまして、市中金融機関あるいは政府系の対象となるものにつきましては、これは極力そちらのほうをまずやっていただく、県としてはそれを補完するために特に業況の悪いところについて配慮していこうという趣旨のものでございますので、希望するところはどんな企業にもというふうにおっしゃるのは、ちょっとその辺については限られた財源の中でございますので、無理がございますが、その点につきましては御理解を賜わりたいと思うのでございます。 また、そのほか御要望のございました、政府系の借り入れ金の償還猶予の働きかけにつきましては、さきに県それから議会、一体となりまして、国に対して要請をいたしたところでございまして、これにつきましてはケース・バイ・ケースで、ほんとうに返せないところについては償還を猶予してという措置が現在とられているところでございます。 また、信用保証協会のワクの拡大につきましては、明年から3カ年間で3億円を県も出捐をいたしまして、ワクを現在の倍増をはかっていくという措置をとることにいたしまして、本議会に知事の専決処分をいたしましたものを御承認を求めるべく、お願いを申し上げておるところでございます。 また、担保物件の評価額の問題につきましては、各方面から御要望をいただいておりますけれども、1つの物件を高く評価せよということは、なかなか制度的にその辺をどうこうするということはむずかしゅうございますので、制度的な措置はむずかしゅうございますが、そういう趣旨について十分関係機関が理解してくれるよう、われわれとしても要請をしておるところでございます。 また、協調融資をどの業種にどのくらい割り当てをしておるかということを明らかにせよということでございますけれども、そういう業種別の割り当てというようなものはいたしてないわけでございます。 また、最近の雇用失業情勢が悪化しておりますのは御指摘のとおりでございまして、本年の4月から11月までの間に213件、4,273名の解雇というようなものが出ております。昨年の同期、35件の773人というような数と比較をいたしますと、非常に大きな状況になっておるわけでございます。このような事情を踏まえまして、県としましても、中小企業不況対策本部といたしまして、不況に伴う職業紹介活動強化対策というものを策定をいたしまして、まず雇用失業情勢の早期的確な把握、それからまた公共職業安定所に設置をいたしております特別職業相談室におきまして、先ほど御質問ございましたような、そういう誘致企業等をはじめとしまして、そこでの離職防止のための雇用管理指導ということをいたしております。 また、企業整備によります離職者につきましては、その早期再就職を促進するために特別求人開拓の班を組織いたしまして、ローラー求人隊というような形で積極的な求人対策をいたしております。そのほか、学卒未充足求人の振りかえというような形での求人確保につとめているところでございます。さらに、離職前の職業相談の実施、あるいは職場適応訓練制度の活用、あるいは職業訓練校への入校あっせん強化というような形で、雇用安定のために懸命に努力をしておるところでございます。 なお、これらの対策とあわせまして、国に対してもすでに県議会の議長と知事の連名で、一時帰休者に対する保険給付の支給制度の創設につきまして要望書を作成し、さきに執行部、県議会一体となりまして国に対して要望をし、現在、その要望の結果を待っておるという状況にあるわけでございます。   〔農林部長鶴巻達雄君登壇〕 ◎農林部長(鶴巻達雄君) 知事の答弁に補足をさせていただきます。 1つは、荒川町の生産調整の問題でございますが、実は要綱によりますと、稲作期間中転作なりあるいは単純休耕するということになっておるわけでございますけれども、便宜上、確認時を7月1日ということで現地確認をやっておるわけでございます。で、荒川町につきましては、6月の28日から3日間にわたりまして、これは荒川町の職員でなくて、損害共済組合の損害評価員が現地調査をやっているわけでございます。その中で問題になりましたのは土地改良の換地処分そのものが間違っておりまして、同一地籍が二重に載っておった。したがって、生産調整だけでなくて共済組合の掛け金も、それから土地改良区の負担金も二重に払われておったというものもあるわけでございます。それから、7月1日の確認時以降採石置場にするなど、一時転用をされたようなものもあるわけでございます。 そういうことで御指摘の点、下越農政事務所を中心にいたしまして、ただいま厳正適確な調査を続けておるわけでございます。その結果が出てまいりますれば、奨励金については、過年度分につきましては還付を命じますし、当年度分については精算をもって処理をいたしたい、かように考えております。 なお、確認事務費について触れられましたけれども、それにつきましては、調査結果を見ましてから、その処理についての検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。 それからもう一点、家畜検査員に例を引かれて獣医師の充足の問題、お話ございました。私ども、人事当局と同道いたしまして、実は夏の期間に特に東北、北海道を中心にしました大学めぐりをいたしまして、ぜひ獣医師の新潟県に対する充足方をお願いしたいというふうに勧誘を行なっておるわけでございます。今後ともそういうものをさらに拡大をしながら、御指摘の点、獣医師の足りないことは事実でございますので、その充足について最善の努力を続けてまいりたい、かように考えております。 以上であります。   〔衛生部長菊地浩君登壇〕 ◎衛生部長(菊地浩君) 食肉検査体制の整備について補足説明申し上げます。 御案内のように、昭和49年度から食肉衛生検査所を設置いたしまして、本所のほか3支所、6駐在所に28人の専任検査員を置いて、検査の充実をはかっておるところであります。しかしながら、各屠場の1日の処理頭数には格差がありまして、検査員の配置に若干不均衡が生じております。この点につきましては、本所からの応援等によって現在措置いたしておるわけでありますが、今後も処理頭数の増加を勘案しまして、知事からも御答弁ありましたように、人員の再配置等について十分検討してまいりたいと思います。 なお、食肉衛生検査所の施設設備の整備でございますが、食肉検査をはじめ、他の屠畜場等の整備とあわせて食肉衛生検査所の設置の面につきましても、年次計画をもって対処できるように、整備できますように、今後検討してまいりたいと思います。 以上であります。   〔齋藤勲君登壇〕 ◆齋藤勲君 知事に1つだけお聞きをしたいと思うのですが、先ほど知事が答弁された解雇企業数と解雇人員、それから商工労働部長が答弁された企業数と人員が食い違っております。知事答弁によると、あたかも解雇した企業の数も少なくて、また人員も少ない、したがって、大したことはないんだという趣旨のように受け取れるわけなんですが、この辺ひとつ統一してください。   〔商工労働部長加藤孝君登壇〕 ◎商工労働部長(加藤孝君) 補足いたしますと、先ほど知事のほうで御答弁申し上げました解雇が少ないと申しますのは、農村工業導入促進法によって導入された企業について解雇が行なわれたものは比較的少ない、こういうことを申し上げたわけでございまして、御了解いただきたいと思います。(「59社で1,244名と言っていじゃないか」と呼び、その他発言する者あり) さらに補足をさせていただきます。私のほうで補足説明をいたしました企業整理の件数は、企業整理のございました数全体を申し上げたわけでございます。現在の不況が浸透しておる中で企業整理が非常に進んでおりまして、雇用情勢が悪化しておるということとの関連で企業整理の件数を、本年の4月から11月までにおきまして、213件の4,273名ということを申し上げたわけでございまして、先ほど知事のほうから御答弁を申し上げました数字は、県内に進出した企業で労働者を解雇したものは本年4月から11月までで59件、離職者数は1,244人ということでございます。私のほうから申し上げましたのは全体の企業整理の人員を申し上げた。知事の申し上げた数字は、そのうちの県内に進出した企業で労働者を解雇したものの数字を申し上げたということでございますので、御了解いただきたいと思います。 ○副議長(遠山作助君) 次に、曽我四郎次君の発言を許します。   〔曽我四郎次君登壇〕(拍手) ◆曽我四郎次君 たいへん議場もたるんでおるようでありますから、最後盛んなやじなどを飛ばしてもらいまして、張り切ってやりたいと思うのでありますが、よろしく御協力を願います。 昭和50年度は福祉3年にあたるわけでありますが、君知事あなたは、自称福祉のチャンピオンであります。総需要抑制下にありまして、福祉予算だけが大幅に伸びたのが49年度の予算の特徴であったことは、あなたも御承知のところであります。しかしながら、予算が大幅に伸びた割りにはあまり目新しい施策のなかったことも事実であります。それは狂乱物価に中身が大きく食われ、目減りがはなはだしかったことを意味するものであります。あなたが公約された幾つかの施策を実現するためにも、来年度の予算要求には並々ならぬ熱意と万全な体制で臨んでいられると思うが、まずはその心がまえのほどを承りたいのであります。 高度経済成長政策が一昨年のドル・ショックでつまづき、次いで昨年の石油危機でもろくもくずれ去ってしまったのでありますが、これを最も熱心にかつ強力に推進してまいりました田中総理が、みずからの著書「日本列島改造論」をてこにそのスピードアップをねらった矢先に、金脈問題で総理総裁の座を去ることになろうとは、予期せざるハプニングにしてはあまりにもでき過ぎていた悲劇だといわなければなりません。だがしかし、田中総理の退陣の背景は保守政治の体質的欠陥と動脈硬化症的老衰現象が表面化したにすぎないのでありまして、内閣改造などで急場を糊塗できる程度のなまやさしいものでないことを深く認識しなければならないと思うのであります。 一国の権力者米国のニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚したように、ファイアーゲート事件だとやゆされながらみずから招いた金脈問題で田中総理が退陣されることは、日本国民にとってまことに耐えがたい悲しむべきことであるとともに、特にわれわれ新潟県民にとりましては何ともやり切れない残念しごくなできごとだといわなければなりません。世界じゅうのマスコミの指摘を受けるまでもなく、全世界からきらわれたエコノミックアニマルに象徴される経済大国論にその根源があることを猛省しなければならないと思うのであります。GNP世界第2位の経済大国がわずか2年にして貧乏小国に転落しようとしている今日、ふんまんやる方ないのは、経済の高成長を続けた陰に所得倍増が始まった30年以降、農業は無残に破壊され、低賃金で経済大国政策の犠牲になった農民や大企業のピエロとなって踊らされた中小企業、零細商工業者、大衆労働者に対し、恩をあだで返すように悪性インフレ、高物価、不況だけを残した自民党の失政は、許されるべきものではないと思うのであります。経済優先、人間不在の自民党政治が残したものは、日本列島総公害、過密過疎、政治不信だけであります。わが党の主張する人間尊重の政治基本の正しさが、今日ほど強烈に見直されたことはないと思うのであります。ここに至っても、なお資源小国日本の選ぶべき道はこれしかなかったのだとする高度経済成長礼賛論者の多くは、国民の指弾を受けなければならないでありましょう。なぜならば、財界のリモコン政党が大資本にばく大な不当利益を与え、企業と癒着して多額の政治献金を受けていたのが金脈、人脈をつくり、政治の腐敗につながり、それが今回の醜態政変劇だったからであります。 君知事は、自他ともに許す田中総理の直系であります。中央直結が自民党知事の一枚看板でありますけれども、そうではなしに県民直結を政治の基本姿勢とするわが党の主張は、5大都市の知事、首長、さらに続々生まれる革新知事、市町村長の実現でその正しさは証明済みであります。さらに、来春の統一選挙ではその波の高まることはもはや国民の常識となっているところであります。ここで私の懸念いたしますることは、田中総理の退陣でショックを受け県政の後退があってはならないということであります。知事、あなたが信頼すべきことは、田中総理ではなくて230万の県民であります。県民の厚い信頼を得て、県民に背を向けない政治姿勢を堅持されることでなければならないと思うのでありますが、田中総理退陣後の県政への影響をどのように受けとめられているか、御心境を承りたいのであります。 さて、前段はこの程度にいたしまして、通告に従い質問をいたしたいと思います。 知事、あなたはお医者さんであります。福祉国家建設、福祉立県には、まことにはまり役であろうかと思うのであります。9月議会ではさっそくミニ・コロニー構想を開陳され、来年度2カ所建設されることも明らかにされましたが、差しつかえなければその内容を承りたいのであります。 いま多くの話題を投げかけている問題は、老人医療の無料化に伴う老人の受診と入院により、一般の健康管理に大きな影響が出てきていることであります。県下で70歳以上のお年寄りは12万2,451人でありますが、この老人の7月中の受診率が何と88.4%と急増いたしているのであります。わが党はこの現象の来ることを予見して、老人専門病院の建設を提起してまいったところでありますが、できれば老人ホームや憩の家などに併置するならばさらにベターであることをつけ加え、知事にその御意思があられるかどうか、御所見のほどを伺いたいと思うのであります。 次に、老人の生きがい対策についてであります。 昭和60年にはわが国総人口が1億4,000万人と推定され、60歳以上のウエートはその30%だというのであります。ここに老人福祉と高齢者の生きがい対策の重大性を認識しなければならないと思うのであります。9月議会で私は、知事にこのことについて伺ったのでありますが、何も名案を持っているわけではない、あげて国の大幅予算づけを待つだけだときわめてふがいない答弁にがっかりしたのであります。計画のないところに予算などつくはずのないことは、知事あなたが一番よく御承知のはずであります。12月県会までに知事に具体策がなければ私のほうから提案いたしましょうとの約束もこれありまするので、一つの提言をいたしたいと思うのであります。 私は昨年8月、北海道苫小牧の工業港を視察いたしましたが、その際、せっかくはるばる新潟から苫小牧においで願ったのですから、ぜひ当市自慢の老人ホームを見てくださいとの申し入れに、願ってもないことと喜んで施設を見学させてもらったのであります。直後の議会で亘知事にも披露いたしたのでありますが、あなたにも聞いていただきましょう。 同市はあなたも御承知のとおり、あれだけの広大な土地に工場建設を進めているのでありますが、公害対策には非常にデリケートな配慮と施策がなされている上に、住民の健康管理、環境整備も徹底したものであります。したがいまして、老人対策などもうらやましいものがあります。この種施設にあるように、囲碁、将棋、いけ花、民謡教室、習字講座、読書サークル、リハビリテーション、健康保持には特にボーリング場までつくってあるのにはびっくりした次第であります。70歳以上のお年寄りが喜々として頭から湯気を立てながらトレパン姿で元気にボーリングを楽しんでいられましたが、ほんとうに年を感じさせない光景であります。私は、この姿が生きがい対策の真の姿でありすべてであるとは思わないのであります。老人を施設に収容するだけでは養老院と変わりはないと思うのでありまして、老人の健康と年齢に応じた仕事を与えることがより必要なのであります。 東京都では国に先がけて高齢者事業団構想を発表して、老人の生きがい対策に前向きに取り組むことを明らかにいたしております。私の、いやわが党の生きがい対策は次のようなものであります。 地域の特産、民芸品、民具製作など、さらには造園、庭園ブームで需要が急増している竹ぼうき類の竹細工、小農具など若いときお年寄りがみずからつくったことのある細工物などをつくる施設設備を県費でつくってやることであります。現に老人の希望を取りまとめたデータでも、こずかい銭取りのできる仕事をしたいという答えが多いのであります。施設設備も老人ホームや憩の家などに併置すればたいした金をかけなくともできると思うのであります。視察団が押しかけてくるような多額の金をかけた施設づくりだけが老人対策であると思うのは間違いであって、陶器、陶芸品など本県古来の美術品などをこれら施策に乗せるならば、生きがい対策に名案なしとはしないはずでありますが、来年度予算にこれを盛り込む御意思があられるかどうか知事のお考えを承っておきたいのであります。 次に、休日診療所問題であります。 私の調べたところによりますれば、現在休日診療所を開設しているのは新潟、新発田、長岡、上越、柏崎、中条、六日町の7自治体、在宅輪番制を実施しているのが村上、新津、小千谷、三条、加茂、燕、見附、糸魚川、十日町、栃尾、巻、寺泊の12自治体だけであります。県は、1施設当たり29万5,000円、総額で1,189万5,000円の予算を措置し、年度末決算に赤字が出たときに交付するというものであります。 物価と休日診療が大きな社会問題となっている今日、知事の積極的かつ強力な行政指導を強く期待する次第でありますが、御所見を承っておきたいのであります。診療報酬の大幅引き上げが毎年の政治課題となることに、国民は大きな矛盾を感じているものであります。一体医者はあれだけもうけているのにどれだけ診療報酬を引き上げたら満足するのだろうとあきれている向きも少なくないのであります。武見会長と田中総理が狂乱物価の鬼だという漫画が新聞や週刊誌をにぎわしたことも当然と思うのであります。しかも、3月15日の税務署の長者番付には、きまって不動産屋と医師が上位を独占することになっているのであっては、まさに正直者だけがばかを見る悪徳政治の標本と言われても反論ができないというものであります。 休日診療の一番の問題点は、医師会との連携だといわれているのでありますが、あなたは幸い医師であられます。県民の健康を守る責任のある知事が行政指導に妙を得るならば、同制度の条例化だって期待できると思うのでありますが、県立病院や公立病院などのこれに対する対応策とあわせてその意思があられるかどうかを承りたいのであります。 次は、高校生によるオートバイ事故の多発について教育長及び県警本部長に伺いたいと思うのであります。 高校生によるオートバイの無暴運転、2人乗りは目に余るものがあり、それによって引き起こされる事故の多発はいまや全国的に大きな社会問題となっていることは御案内のとおりであります。 県警交通部のデータを追って見まするに、48年、オートバイの総事故件数2,801件のうち高校生によるものが750件、26.7%、49年9月末現在、総事故件数2,040件、うち高校生によるものが541件、26.5%ということになっております。また、死亡者48年、58名のうち高校生によるもの11件、49年9月末現在、48名、うち高校生によるもの10件で20.8%となっているのであります。日曜日など2人乗りでものすごいスピードで暴走しているのをよく見かけるのでありますが、はたして親たちがこれを知っているのだろうかと思うとりつ然とせざるを得ないのであります。 さらに、学校別事故内容を見ると、多発校が新潟市の2校になっているのであります。48年の例に見まするに北越商業高校、件数31件、死者2名、負傷者23名、新潟工業高校、件数13件、死者1名、負傷者4名、さらに事故の内訳を見ますると、ヘルメットを着用しない義務違反18件、レジャーによる事故が14件というに至っては、交通マナーをどのように教えているのか、高校教育に問題があるといわざるを得ないのでありますが、教育長のとってきた方針を聞かせていただきたいのであります。 警察の必死の指導、取り締まりにもかかわらず、高校生の事故多発は道路行政にも大きな問題のあることは言をまちませんが、むしろ制度上に根本的な問題があると私は思うのであります。ちなみに県下の高校生の免許所有数と2種及び原付使用台数を見るとそれがうなずけるのであります。免許所有者は2万4,260名で全体の3.2%、車の使用台数は1万6,896台で5.9%となっているのであります。大半の生徒は在学中に免許を取っていることがうかがえるのであります。 私は、免許取得年齢を18歳以上に引き上げるべきだと思うのであります。なぜならば、体位だけが成熟しても社会的常識の成熟がこれに伴わないところに事故多発の原因があると思うからであります。本部長は交通畑専門の御出身であると承っておりますが、免許取得年齢を18歳以上に引き上げるよう国に具申するお考えがあられるかどうかを伺っておきます。 次に、これは自民党の議員の方とダブるんでありますけれども、知事は去る11月6日、県医療機関整備審議会からリハビリテーション対策について答申を受けていられますが、まことに貴重な内容でありますだけに、これをどのように実現なされるお心組みであられるかを注目いたしたいのであります。内容、県内各医療機関におけるリハビリテーションを要する者は1万1,800人だと推計され、障害内訳は肢体不自由5,300人、内科的疾患2,800人、言語障害700人、聴覚障害200人、精神障害2,500人、なお相当数の潜在者が予想されるというものであります。1万1,800人はリハビリテーションによって機能回復と社会復帰が可能であるといわれるのであります。中でも身体障害児施設入所者数は現在250人で、さらに入所を必要とする者が900人いるというのであります。特に身体障害者及び精神薄弱者を対象とした授産施設等には生涯施設のないことが法の盲点であり、問題とされているところであります。これら障害者を持つ家庭の苦悩を察すると、社会的にも経済的にもはかり知れないものがあるのであります。一日も早く施設の拡充、法の改正を急がなければならないと思うのでありますが、リハビリテーション対策については、対象者の現況を踏まえて幾つかの指摘がなされています。 さすがに知事は、さっそく来年度国に向かって技術者養成機関設置を要望されるなど積極的姿勢を見せていられることはけっこうなことであります。この答申を実現するには、長い年月とばく大な資金を必要とすることではありますが、福祉行政のおくれを取り戻す意味からも、行政の休息は許されないのであります。知事はこの答申をどのように受けとめ、どうお進めになられるのかを伺いたいのであります。 次に、建設業倒産と中小企業、商工業者対策についてお尋ねいたしたいと思います。 本年の年間倒産は1万1,500件をこす見込みで戦後最高、そして最悪の年だと発表されているのであります。本県でも建設業の倒産59件を含めて例産総数203件で、もちろん戦後最高となっております。私は、大手企業や土建会社の倒産だけをぎょうぎょうしくマスコミは取り上げておりますけれども、物価暴騰を見るならば、一部特殊な家庭を除けばほとんどの家計が名目的倒産をしていることを指摘したいのであります。試みに本年3月以降の生活関連品目の値上がり一覧表を公表いたします。 ハイヤー・タクシー63.24%、清酒20%、粉ミルク30%、ガス12.6%、電気料金51.8%、トラック運賃30.8%、灯油63%、食用油25.6%、入浴料金が42.3%、新聞代54.5%、牛乳15%、砂糖24.2%、衣料用合成洗剤13.7%、佐渡汽船49.4%、アルコール48.5%、私鉄運賃33.3%、国内航空29.3%、家庭用LPガス15%、給食用牛乳16.7%、県内バス平均50%、郵便小包料金47.3%、消費者米価32%、国鉄運賃旅客23.2%、貨物24.1%、医療費16%、バター33.3%、さらに来年度早々切手は50円に、はがきが30円に、タバコが55%値上げされると発表されているのであります。 物価値上げはひた押しに国民生活を圧迫し、公共料金がまた軒並み上がる気配であります。物価値上げを押える押えると言っている政府・自民党に何の歯どめ策もないことを思えば、倒産すなわち国民生活破壊の責任は、すべて政府・自民党にあると断言できるのであります。知事は提案説明の中で、特に中小企業不況対策本部所要経費を追加し、対策に遺憾なきを期したと強調されましたけれども、建設業の倒産要因は直接には国の総需要抑制、金融の長期引き締め、公共事業繰り述べ40億円、民間設備投資の落ち込み、住宅需給の大幅減、関連倒産の余波などとあげられておりますけれども、いずれにしても今次倒産が悪性インフレによる深刻な不況型倒産であることを思えば、さらに倒産件数もふえていくことが予想されるのであります。 中小零細商工業者にまたぞろ50億円程度の不況対策緊急融資でお茶を濁しておりますけれども、この程度のことで本当に知事は中小零細業者が深刻な不況を乗り切れると思っていられるのかどうか、その本腹を聞きたいのであります。 最後に、ローカル問題で失礼でありますが、1つ取り上げて私の質問を終わりたいと思うのであります。 福島潟干拓は、国の食糧不足対策として昭和38年、総事業費18億円を投じ、農林省直轄事業として着工され50年度に完成される予定のものであります。湖面約600ヘクタールのところ163ヘクタールを干陸して米をつくらせることになっていたのであります。目下一部換地を終わり、野菜などを試作している程度で、工事が完了すれば当然農家は米をつくれると思い込んでいたところ、減反政策で米をつくることは絶対まかりならないという農林省の厳命なのであります。食糧不足がじわじわわが国にも浸透しつつある昨今、知事は農林省に対して、米をつくりたい農家には米をつくることができるよう働きかけてほしいのでありますが、知事のお骨折りをお願い申し上げまして私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 曽我議員にお答えいたしますが、最初に来年度福祉を考慮した予算編成に対する心がまえというようなお話がございまして、また一つの提言として苫小牧視察の際の市自慢の老人施設の問題がありましたが、私は、福祉行政というものはきわめて広範囲であり、また場合によっては金が幾らあっても足らないというものにどう対処していくかということがきわめて困難があり、むずかしさがあるわけであります。 それで、たとえば肢体不自由児、精簿施設についても、いままで各県でいろいろな施策が行なわれ、きわめてりっぱな施設が各県にできつつあります。本県においてもコロニー白岩の里のようなきわめてりっぱな施設があるわけでありますが、これももちろん必要でありましょうけれども、残念ながらたとえば重度の身体障害者を収容する施設はどこにもない、少なくとも公共団体でやっているところはないわけです。なぜかといいますと、これは非常にむずかしいわけであります。したがって、そういうものを避けて通るということは好ましくないのではないか。 私は、試みに最も困難ないわゆる超重度肢体不自由児施設、さらに永久施設としてのこういうコロニーを検討してまいりたい。いままでほんとうの意味でやった経験がございませんのできわめてむずかしいが、まず初年度で当初予算にのせるひまが、研究の段階で時間があるかどうかはまだ確言申し上げられませんが、いずれにしてもそういう最も困難な重度以上の肢体不自由児施設と重度以上の精簿施設、これをつくっていきたい。なぜ小さいミニ・コロニーということを考えたかといいますと、たとえば県一円を対象とする施設をつくる。そうすると極端にすると、上越市にかりにつくったといたしますと、村上からも山北からも入るわけです。そういたしますと、親と隔絶されてしまう。おそらく親も毎月会うわけにはいかない。半年、1年たつと親子の縁が現実的に切れてしまう。そういう不安があるわけです。しかし、これは親の愛情なくしてこういう子供さんたちがしあわせになるわけがないのでありまして、そういう意味で小さい範囲でたくさんつくって、そして両親も家族も地域社会もボランティアもそれから市町村も県も一体となった、いわゆる県民ぐるみの福祉政策を実施したい。それの実験としてどうしても1カ所ぐらいずつつくってみたいというのが、私の念願で夢であるわけであります。しかし、これは非常にむずかしいことでありますが、そうかといって金をふんだんに使えばできないこともありませんでしょうけれども、これはまた問題である。そういう意味で、理想的な姿を、このようであるというふうな施設をぜひともつくってまいりたいという心がまえで、私は予算編成に臨むつもりでございます。 その次に、田中総理が退陣されて保守政治は動脈硬化になっているのだ、私はそうは思ってないんで、かわるべき政党が問題にならないから自民党はあきられたと言っている方もたくさんいらっしゃいます。私が言うと角が立ちますけれども……。いずれにしても先ほど申し上げました――しかし、田中総理が退陣されたために新潟県行政がたいへん将来支障を来たすのかということを心配されておりますが、これは絶対にそういうことはございません。また、本県の政治力を結集いたしまして、開発は開発、福祉は福祉、決して総理が退陣されたからあとが困るということはございません。ただ、先ほども申し上げましたように、まことに残念なことであるということを申し上げたわけであります。 それから老人対策の問題でありますが、生きがい対策、苫小牧の話からいろいろお話がございました。そういう施設も非常にいいでございましょうが、苫小牧は非常に大きな工場がたくさん立地しまして、それらの非常な支援があるわけであります。したがって、ばく大な金を使ってもできるのでありますが、それはそれでけっこうでございますが、われわれとしてはまたそれだけをまねするということではなしに、ほんとうに苦心惨たんをした福祉政策をやっていきたいというふうに考えておるわけであります。 老人対策としては、お話のようにやはりいろいろの老人施設も大事でありましょうが、やはり生きがい対策、仕事を与えるとか仕事をしていただくとか、楽しみを持つ、そういう意味のが最も生きがい対策でありまして、また、自宅で家族とともに楽しく暮らせるというのが、私は最大の生きがい対策であろうかと思います。しかし、これらいろいろのケースがありますのでそれぞれむずかしいわけでありますから、施設は施設、また自宅におけるそれぞれの考え方等も総合的に、私は老人の生きがい対策を進めてまいりたいと考えておるわけであります。 それから、老人の医療無料化に伴いましていろいろベッドが少なくなってきておるということ、確かに御指摘のとおりであります。現在県内において相当規模の老人専門病院の建設計画が相談を受けております。それはそれとして、おそらくいまの曽我議員は県立でつくれというお話であろうかと思いますが、これは私は何でもかんでも県でつくることが理想だと考えておりません。御承知のように県立病院は岩手県と新潟県だけが圧倒的に持っておりまして、ほかの県はほとんど1つないし3つというのが普通なんであります。私は、県立病院については、現在の病院を整備していくことがより優先されなければいけない。何でもかんでも要望があったから片っぱしからつくっていって全部中途はんぱにするということは許されない。現在の県立病院をほんとうに地域社会のために役立つように充実していきたいというのを第一義的に考えていきたい。老人対策についてはそれぞれの立場でまた検討をしてまいりたいと考えております。 いずれにしても、単年度県費十数億を入れましても20億の赤字、合計いたしますと40億近い赤字を来たしておる。これは県民に利用されておるのでありますから差しつかえないといえば差しつかえないのでありますが、金を全然考えないということもきわめて危険なことでありますので、そういう意味で私は県立病院は、現在の病院の整備ということに重点を置いてまいりたいと考えております。 それから、休日診療所の問題であります。これは御指摘のようにきわめて重要なことでありまして、私も御指摘のように医者でありますが、医師会とも十分相談をし、自治体ともいろいろ相談をいたしまして、何とか住民の御要望にこたえるようにやっていきたいと考えております。 それに関連いたして診療報酬が上がり過ぎて云々という話がありましたけれども、これはまたそう簡単には言えないのでありまして、少なくとも病院関係からすれば、これは診療報酬が足らぬという。その辺の議論をいたしていきますとなかなか何時間もかかりますので、単純に診療報酬が上がり過ぎて、これが武見太郎と田中の何とかということは、ちょっと言い過ぎじゃございませんかとちょっと申し上げてみたいと思います。 それから、またリハビリテーションの問題でありますが、答申につきましては十分尊重してその趣旨を実現するようにいたしたい。 また、おほめにあずかりましたが、それには何といたしましても人間が大事なんでありまして、建物は金さえあればできるけれども、その技術屋というものが現在専門家が非常に少ない。さらにその専門家の指導者に至っては、日本には数が非常に少ない。どうしても現在は米国に留学でもして、あるいは見習いに一、二年行かなければ満足な指導者が得られない現状でありますので、両面にわたって厚生省関係は国立の犀潟療養所、文部省関係は新潟の医療短大それぞれにその養成施設をつくるべく私は運動をいたしているわけでありますが、来年度両方すぐ必ずしも成功するかどうかわかりませんが、リハビリ対策としてはこれはきわめて長期にわたって困難な道を歩まなければいけませんので、精力的にそれらの人間の養成につとめてまいりたいと考えております。 それから中小企業対策の問題ですが、先ほど齋藤議員にも詳しく商労部長からも御説明を申し上げましたのでダブる面もたくさんあるかと思いますが、簡単にお答え申し上げたいと思います。 このように長期にわたります景気の停滞を受けまして、中小企業に対する緊急対策の必要性が非常に急がれておるわけであります。さきに県議会と一体となりまして、国と関係機関に対して大幅な緊急融資、借り入れ金の償還猶予、不況業種の指定による特別措置等について実施方を強く要請したところであります。国におきましては、中小企業金融3機関の融資規模の拡大と信用保険法によります不況業種指定等による措置を実施いたしたわけであります。県といたしましても国の措置を補完いたしまして、県不況対策特別資金制度を実施して経営の安定につとめておるところであります。しかし、なかなか長期にわたり、また50年度にもいわゆる総需要抑制が必要であろうかという現段階、なかなかむずかしいことはよく承知いたしておりますが、何といたしましても企業経営者の一そうの努力がまず必要であろうかと考えております。 無担保無保証融資につきましては、商工会議所、商工会による経営指導を活用して、資金手当てとあわせて経営の改善を指導し期待しておるわけであります。 いずれにいたしましても、きわめて困難であるわけでありますが、今後とも御趣旨を体して努力を重ねていきたいと考えております。 それから、福島潟の問題でございますが、これは御要望、努力をしてくれというお話でありますが、端的に申し上げますとかなりむずかしい問題があろうかと思います。と申し上げますのは、御承知のようにこれは来年度完成するわけであります。当初にはこれは水稲栽培をやる計画で進められたんでありますが、御指摘のように国の施策が変わってまいりまして、畑作に転向する方針に変わったわけであります。昭和48年に農林大臣の承認をそれで受けたわけです。したがって、現在のところは米作は許されない状態でありまして、御指摘の点についてきわめて困難な面があるわけであります。と申しますのは、少なくとも生産調整は一応48年度ある程度終えたわけでありますが、畑作転換は50年、来年まだ残っておるわけであります。これはやはり食糧の総合政策上からの畑作を強化しなければならない、米から畑作に転換の奨励をいたしております現在、畑作ということにきまったものを稲作に切りかえさせるということは、非常に困難ではないかと考えております。しかし、いずれにいたしましても、今後の推移を見ながらいろいろ住民の御希望も勘案して対策を進めていきたいと考えております。以上。   〔教育長矢野達夫君登壇〕 ◎教育長(矢野達夫君) 高校生の交通事故につきましての御質問にお答え申し上げます。 高校生の交通事故の場合に2種類ございまして、自分が自損したり加害者になったりという場合と被害者になる場合と2つございますが、御質問は加害の立場の御質問が主体だと思いますので、そういう点にしぼってお答えを申し上げたいと思います。 昨年と比較いたしますと、加害、自損の場合は前年度より約四、五十件減少いたしております。いたしておりますが、実は内容を見ますとたいへん重大事故が多くなっております。こういうような状況の中で発生件数は若干減りつつありますが、内容が非常に重大になってきている。特に問題は御指摘ございましたように、特定の学校に事故件数が20件、30件というような大きな件数を年間に持つ学校が出始めている、多発校が多くなっているということでございます。こういうようなこと、あるいはこういう事故の発生の状況をいろいろと分析いたしますと、時期といたしましては夏休みを含む7月、8月、9月が多い。また、御指摘のございましたレジャー関係が非常に多い。時間帯を申しますと、登下校以外のときが多い。それから、装備の関係につきましても、いわゆるヘルメットを使用しないノーヘルの状態である。 こういうような状況の中で、これから一体どうすればいいかということでございます。これはこういう対策になってまいりますと、観念論でから回りをいたしましてもなかなか実効が伴わないことでございます。学校教育の立場におきましても、従来は生活指導の面におきましてこれらのことをいろいろと教育を重ねてまいっておりますが、特に本年におきましては、交通安全協会のメンバーをもって構成をいたしております実技指導員を県が謝礼を出しまして、各学校に自動2輪車実技指導というものを行なっております。これは年2回行なって大部分の学校がこの実施をいたしております。それから、それを受けましてまた各学校におきましてもこういう指導担当の教師がおりまして、安全指導の研修会をいたしております。特にこの教師による指導の中心は、ノーヘル絶滅の問題でございます。 それから、学校が1校単位でやるよりも、その地域の高校の協力体制を強化するということが効果があるという考え方に立ちまして、地域高校の交通安全協力体制を深めつつございます。たとえばこういうように昨年までは一応生活指導の面からやっておりましたが、本年は具体的な実技指導をいたしておりますが、何ぶんにも青少年の対策は一般的にどの問題でも言えることでございますが、こういったようなことに参加をし、協力する青少年には青少年対策はほんとうは要らないのだ。協力しない人たちが問題だと言われております。この高校生の交通事故につきましてもまさにこの一つの例でございまして、特にこういった実態の中で、今後私どもは従来の考え方からさらにきめをこまかくいたしまして、こういう事故の可能性のある生徒あるいは多発校、そういったようなところに重点的に施策を講じてまいりたいと思います。また、問題は登下校以外の時間帯あるいは時期に行なわれるというようなことを考えますと、地域ぐるみあるいは家庭ぐるみというような方向で検討しなければならないという考え方に立っております。 家庭に関しましても、高校PTA地区協議会というものをただいま県下に6つ持っておりますが、これをさらに細分化いたしまして、もっと具体的に家庭の協力体制というような方向を強化してまいりたいと思います。 いずれにいたしましても、いままでのいろいろな対策の足らざるところをさらに重点化、細分化をいたして、人命尊重を中心に交通モラルの向上につとめて、事故の絶滅を期してまいりたい、かように考えております。   〔警察本部長寺尾繁君登壇〕 ◎警察本部長(寺尾繁君) 私に対する御質問は、高校生の免許年齢を18歳以上とすべきではないかということでございます。 御存じのように、2輪車には市販のものをとりましても50ccから750ccまで非常に幅が広くあるということ、それからまた、有職少年といいますか、職業に使っている分野がかなりあるということ、そういうことからこれらを一律に18歳以上にするということについては問題があると思いますけれども、少なくとも、たとえば250cc以上といったような車について、御質問のような趣旨については私ども東京ともよく連絡をとってやっていきたいと思います。 そこで、当面でございますけれども、実は2年ほど前に魔の17歳の男子ということが言われておりまして、10万人当たりの死傷者率が17歳の男子が一番多い、しかも、その大部分が2輪車の事故であるということでございまして、警察庁でも当時実際の免許を与えます場合に、最初の免許では250ccまでしか乗せないという限定免許を与えてございます。そして、2回目に250cc以上も乗れるというふうに措置してございますので、当県といたしましてもこの制度をフルに活用いたしまして、250cc以上の車を運転するものの免許につきましては、ひとつ厳格にやってまいりたいというふうに考えております。 それからもう一つ、実は小さな車ほど事故が少のうございますけれども、たとえばできるだけ高校生は125cc以下に乗るといったようなことについて、PTAその他の中から声が上がりまして、そういうふうにできるような指導ができればというふうに考えます。以上でございます。   ――――――――――――――――― ○副議長(遠山作助君) これにて一般質問は終了いたしました。 ○副議長(遠山作助君) おはかりいたします。 議案審査等のため明12月10日及び明後12月11日の2日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(遠山作助君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(遠山作助君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は12月12日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後3時29分散会...